2011 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチに対する新たな治療標的としてのconnexin43の可能性
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23659731
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
寺内 竜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20575154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コネキシン / ギャップ結合 / 関節リウマチ / 炎症性サイトカイン / 破骨細胞 |
Research Abstract |
ヒトの関節リウマチ(RA)、および変形性関節症(OA)に対する人工関節手術あるいは滑膜切除術時に不要な滑膜を採取し、コネキシン43(Cx43)の発現を評価した。RA滑膜でのCx43の遺伝子発現は、OAと比べて約8.2倍亢進していた。次に、滑膜線維芽細胞におけるCx43の炎症制サイトカインに対する役割を検討した。ラットのCx43に対する特異的なsmall interfering RNA(r-siCx43)を作成した。抑制効果はnon-specific siRNAを導入した群と比較して82.5%であった。r-siCx43を導入した12時間後にlipopolysaccharide(LPS)刺激を行い、6時間後のCx43と炎症性サイトカイン(TNFーα、IL-6、IL-1β)の遺伝子発現をreal time RT-PCRで、タンパクをELISAで定量した。LPS刺激によりCx43の発現は優位に亢進した。LPS刺激によりTNFーα、IL-6、IL-1βの発現は増強したが、r-siCx43を導入した群では、それらの発現の増強は認めなかった。さらに、マウスのマクロファージセルラインであるRAW264.7を用いて,破骨細胞の誘導効果を検討した。マウスのCx43に対するsiRNA(m-siCx43)を作成した。抑制効果はnon-specific siRNAを導入した群と比較して79.5%であった。RAW264.7にm-siCx43を導入し、24時間後にRANKL刺激を行い、5日目に破骨細胞様細胞(TRAP染色陽性で多角の巨細胞)の数をカウントした。Cx43の遺伝子発現は、RANKL刺激により亢進した。破骨細胞様細胞の数はm-siCx43を導入した群では有意に低かった。以上より、Cx43の遺伝子発現を抑制することにより抗炎症効果および破骨細胞分化の抑制効果をin vitroで明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RAにおける Cx43の発現が亢進していることを明らかにした。またCx43の遺伝子発現を抑制することで、RAの病態に重要な滑膜線維芽細胞の炎症性サイトカインを抑制できること、また、マクロファージから破骨細胞へ分化を抑制できる可能性を明らかにできた。本年度は、RAにおけるCx43の発現動態および作用についての検討を目的としており、一定の進展があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ギャップ結合は、隣接する細胞間隙に存在する膜貫通型のチャンネルで、そのチャンネルを介して直接情報が伝達され,恒常性を維持している。正常ヒト滑膜のギャップ結合はCx43をはじめとする膜タンパクの6量体で構成されている。近年、Cx43がさまざまな疾患における炎症反応、破骨細胞分化の誘導に関与することが明らかとなり、RA病態の主体である滑膜炎および骨破壊にもCx43が関与している可能性がある。RAに対する既存の抗サイトカイン療法とは全く異なる機序を有する新しい分子標的療法にむけて、RA病態におけるCx43の役割を解明することを今後の研究の推進方策とする。RA病態の主体である滑膜炎と骨破壊の両方の制御にCx43が重要な役割を有することを明らかにすれば、現存する抗サイトカイン療法と異なる機序を有する新規治療薬を開発する礎となり、RA治療に新しいオプションを加える可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Cx43による細胞間相互作用の解析と動物関節炎モデルを用いたsiCx43の有効性を評価する。まず、Cx43による関節組織由来細胞間の相互作用の解析を行う。滑膜細胞/マクロファージ,マクロファージ/骨髄単球系前駆細胞,滑膜細胞/骨髄単球系前駆細胞の共培養系を作製し、炎症反応、破骨細胞への影響を検討する。また、細胞増殖能についてはMTS assayを用いて解析する。 次にラット関節炎モデルに対するsiCx43の投与方法および副作用の検討を行う。DAラットに対してウシコラーゲンの皮内注射により免疫感作した関節炎モデルラットを作製し、Cx43-siRNAを関節腔内投与(electroporation法)、経口投与、経静脈的にHydrodinamic法で投与を行い、経時的に滑膜組織および破骨細胞でのCx43の発現について免疫染色で評価する。
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[Presentation] Silencing the Expression of Connexin 43 Decreases Inflammation in Rat Synovium2012
Author(s)
Tsuchida S, Arai Y, Terauchi R, Honjo K, Nakagawa S, Inoue H, Oda R, Tokunaga D, Mazda O, Kubo T
Organizer
58th Annual Meeting of Orthopaedic Research Society
Place of Presentation
Moscone West Convention Center(San Francisco, California)
Year and Date
2012.2.4-7
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