2014 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔虚血プレコンディショニングによる深部静脈血栓症に対する戦略的予防法の確立
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23659737
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
釈永 清志 富山大学, 大学病院, 准教授 (40187498)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 遠隔虚血プレコンディションイング / 虚血再潅流 / 凝固活性動態 / 炎症反応 / 可溶性フィブリンモノマー複合体 / NF-κB活性 / 人工膝関節置換術 / 駆血帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】下肢虚血再灌流後の血栓形成に対する遠隔虚血プレコンディショニング ( remote ischemic preconditioning; RIPC ) の予防効果について明らかにするため、駆血帯を使用する人工膝関節置換術(TKA)の凝固活性動態について前向きに評価、検証した。また同時にRIPC の炎症反応に対する影響を明らかにするため、NF-κB活性とサイトカイン動態についても検証した。 【対象及び方法】対象は駆血帯を使用する定時の片側TKA手術患者で、同意の得られた症例。RIPC施行の有無によりRIPC群(R群)とコントロール群(C群)に無作為に割り当てた。R群では、麻酔導入後執刀前に観血的動脈圧ライン挿入側と反対側の上肢で、先行虚血再灌流(遠隔虚血プレコンディショニング:5分間虚血-5分間再灌流を4 サイクル)を施行した。なお、上肢虚血はマンシェットを用い観血的動脈圧ラインの収縮期圧より15 mmHg高く加圧した。採血ポイントは、T1: 麻酔導入直後、T2: 下肢駆血帯解放直前、T3: 同解放20分後、T4: 術後第1病日朝とした。測定項目は、可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)、D-Dimer、FDP、PLG活性、NF-κB活性、IL-6 、IL-10とした。 【結果】SFMC値は両群ともT1に対してT3で有意に上昇した。T3のSFMC値はR群がC群より有意に低値を示した。NF-κB活性はC群のT2で有意に上昇し、R群のT2、T3でC群より有意に低値を呈した。IL-6はT4でR群の有意な抑制、IL-10はT4でR群の有意な増加を認めた。 【結語】RIPCは駆血帯を使用するTKA手術において、少なくとも術直後(駆血帯解放20分後)においては血栓形成の予防効果が示唆され、更にNF-κB活性の抑制を介して炎症反応を抑制することが示唆された。
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Research Products
(2 results)