2012 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度吸入麻酔薬による胎児麻酔後の脳神経発達障害に及ぼす影響とその機序の解明
Project/Area Number |
23659744
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
魚川 礼子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50467651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 正明 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20213332)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 未熟脳 / マウス / BDNF / GABA受容体 |
Research Abstract |
今年度は、大脳皮質や記憶形成に係わる海馬の神経回路発達変化を制御する最も重要な制御因子の一つで、発達脳における臨界期の決定に大きな影響を及ぼす脳内脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現及び出生後のGABA受容体の未熟脳から成熟脳へのスイッチに関連する因子に関係があるかどうかを検討した。 ①妊娠中期(妊娠10日目)及び後期(妊娠17日目)に2MACのイソフルランおよびセボフルラン曝露後、生後1週間、2週間後の海馬でのBDNFmRNAのRT-PCRを行い、比較検討した。妊娠17日目の50%酸素曝露後の出生したマウスは生後の2週間目に脳内BDNFmRNA発現は大幅に増加するが、イソフルラン及びセボフルラン曝露後に出生したマウスは抑制されていた。しかし、妊娠10日目の曝露では生後2週間目のBDNFmRNA発現の抑制は認められなかった。②-妊娠中期(妊娠10日目)及び後期(妊娠17日目)に2MACのイソフルランおよびセボフルラン暴露後、生後1週間、2週間後の海馬でのNKCC1およびKCC2mRNAをRT-PCRで測定し、比較検討した。妊娠10日及び17日目の50%酸素曝露後の、生後1週間、生後2週間目のKCC2 mRNA発現にイソフルラン及びセボフルラン曝露は影響を与えていなかったが、NKCC1mRNA発言はイソフルラン曝露でその発現量は増加し、セボフルラン曝露で軽度減少していた。その結果、NKCC/KCC2mRNA比はイソフルラン曝露で50%酸素曝露に比べて増加し、セボフルラン曝露で減少していた。 以上より、妊娠中の高濃度吸入麻酔薬曝露は出生したマウスの脳内BDNF発現量に影響を与え、またGABA受容体の未熟脳から成熟脳へのスイッチに何らかの影響を与えている可能性が示唆された。
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