2011 Fiscal Year Research-status Report
周術期脳虚血障害に対する薬剤誘発及び局所冷却を用いた長期低体温療法の国際共同研究
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23659751
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
阿部 恭子 久留米大学, 医学部, 助教 (50569522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 秀樹 久留米大学, 医学部, 講師 (30198923)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳虚血障害 / 長期低体温療法 / 薬剤誘発 / 局所冷却 |
Research Abstract |
平成23年度研究実績概要I-1 非開頭型ラット用冷却デバイスの開発 我々が既に開発しているラット両側BIS測定用脳波電極デバイスを改良し、ペルチェ型熱電素子と水冷式の温度制御システムをハイブリッドさせ、非開頭型冷却デバイスを開発する。今回はプロトタイプとして連携研究者(山口大学藤岡裕士)らの開発した脳局所冷却システムを改良作製しその冷却性能を検討した。今回作製したシステムは(1)冷却(unit 1),(2)放熱(unit 2),(3)脳波検知(unit 3),(4)温度制御(unit 4),(5)電源(unit 5),の5つのユニットより構成した。unit 1の局所冷却部分を、頭蓋外から非開頭で行うべく前項に示した様な形状のデバイスに適応可能な形状で、手術後に動物が自由行動できる様な形態ならびにシステムを念頭に置き設計した。I-2 ペルチェ型熱電素子を任意に温度制御し、脳皮質および脳実質内に刺入した体温プローブによる脳温計測により、非開頭型冷却デバイスの基本性能をチェックした。これまでのデータによると、脳表の直接冷却において皮質と線状体との間には最大5℃程度の温度較差が見られており、頭蓋外からの冷却の場合その効率はさらに落ちると事が予想されるが、ペルチェ素子を用いた温度制御は任意の設定温度を長時間にわたり保持可能で、冷却可能な片面の対面で起こる放熱対策についても、アルミニウム製の枠を素子周囲に取り付け、その内部に水路を作製し冷却水を流す工夫を行っているため容易に可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの局所脳冷却システムは脳表面を直接冷やす事で脳深部まで高い冷却効率を得られていた。今回薬剤誘発低体温に対するコントロールとしての局所冷却法は、長期にわたり低体温療法を施行するため、開頭せずに頭蓋外からの冷却を主眼として行う。
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Strategy for Future Research Activity |
一過性中大脳動脈閉塞モデル(MCAO)に、初年度で構築した冷却システムによる低体温暴露を加える。プロトコールは下記の通り。1)成熟雄性SDラットに全身麻酔下に冷却デバイス並びにCortex及び striatumへ温度センサーを刺入装着(設備、技術など現有) 2)intraluminal methodによる60分間の一過性中大脳動脈閉塞モデルを作製する(設備、技術など現有)3)実験グループ a)コントロール;MCAO b)MCAO + 虚血中低体温 c)MCAO + 再灌流時低体温4)脳温制御 a)温度目標(striatum温度を指標とする)25,30.32,34,36℃b)低体温導入,維持及びエンドポイントのタイミング:虚血侵襲に対し経時的に発生する興奮毒性、ペナンブラ領域の脱分極、炎症、抗炎症シグナル、アポトーシスといった病態変化それぞれに対応する低体温の果たす役割を念頭に決定する。虚血中;(1)虚血開始時 (2)虚血開始15分 (3)虚血開始30分 (4)虚血開始60分=再灌流直前・再灌流後早期;(5)再灌流後5分 (6)再灌流後30分 (7)再灌流60分 (8)再灌流後120分 (9)再灌流後180分・再灌流後中期;(10)再灌流後6時間 (11)再灌流後12時間 (12)再灌流後24時間・慢性期:再灌流7日後;予算年度内に早期、中期保護結果が確認された場合に施行する。c)低体温持続時間 最大7日間まで 5)評価指標 a)行動学的評価;Modified neurological severity score(mNSS),Adhesive removal test, Rotarod testによる二重盲目試験 b)梗塞体積;TTC染色、及びcresyl violet染色による二重盲目試験 6)評価時期;復温から1日後、3日後、1、2、4、8週間の各時点で、5)の評価指標について検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費使用内訳1.初年度に構築した冷却システムの改良費用2.実験用動物3.実験用薬剤4.旅費
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