2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659753
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五十嵐 辰男 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (70302544)
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Keywords | 排尿生理学 / 内視鏡画像 / 仮想内視鏡 / 数値流体力学 / 尿流動態 / 尿道機能 |
Research Abstract |
排尿障害を有する男性の前立腺部尿道の立体形状を、膀胱尿道鏡ビデオ映像から仮想空間上に再構築し、この中を流れる尿流動態を数値流体力学的手法で解明を試みた。 平成25年度は、コンピュータ支援設計ソフトおよび数値流体解析ソフトをもちいて膀胱頸部硬化症の精細なモデルを作成し、連成解析により膀胱頸部および前立腺部尿道の変形が前立腺部尿道の尿流動態と流体エネルギーの損失を計算した。その結果、膀胱頸部の変形の程度により発生する尿流の乱れは渦流として可視化でき、その程度は前立腺部尿道遠位端の圧損として表現できることを見出した。同時に膀胱尿道鏡ビデオ画像から前立腺部尿道の仮想内視鏡画像作成手法の精度を、これまでに撮像した30例の前立腺肥大症症例のビデオファイルを元に検証した。前立腺部尿道の仮想内視鏡画像をもちいた数値流体計算では、前立腺部尿道を通過する際に生じる圧損は前立腺重量と相関すること、およびα受容体阻害薬内服後の圧損の改善の程度は排尿パラメータと相関が見られたことから、前立腺部尿道における「尿道抵抗」を評価する有用な手法を確立できた。 男性における排尿障害の治療対象臓器は主に前立腺部尿道に集約されるので、本研究により同部の尿流動態を評価する手法が確立されたことは、排尿生理学的にも意義が深い。また同部は男性の生活の質に重要な排尿障害と性機能障害にも関連性が深く、前立腺部尿道における尿流動態の把握は診療の高度化に重要な役割を果たすと考える。本研究で重要な点は、渦流の可視化により、排尿障害の責任病変の部位が推定できると思われることである。さらに外科的治療が内視鏡視野下で行われることを考えた際、本研究で確立した内視鏡映像に基づく診断手法は臨床的な有用性が高いと考えられる。
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