2013 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊症に硫酸化糖脂質が関与する:モデルマウスと人工膜を用いた分子機構の解明
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23659764
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
有冨 桂子 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (50142451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久樹 晴美 帝京大学, 医学部, 助教 (00091059)
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Keywords | 硫酸化糖脂質 / グリセロ糖脂質 / リン脂質 / 精子形成 / 質量分析 / プロテオミクス / 遺伝子変異マウス |
Research Abstract |
少子化対策において不妊症は重要課題の1つであるが、その半数を占める男性不妊症は、精子形成メカニズムの複雑さから、未解明の部分が多い。研究代表者らは、硫酸化糖脂質セミノリピドを欠損するマウスが、精子形成不全による男性不妊症を発症することを見出した。脂質代謝に関わる遺伝子変異マウスの中では、エーテル脂質欠損マウスや長鎖ガングリオシド欠損マウスにおいても、精子形成不全が報告され、精子形成における脂質の重要性が示唆される。精巣には、精子へと分化する精細胞と、これを支持するセルトリ細胞が存在する。セミノリピドは精巣糖脂質の90%を占め、精細胞にのみ発現していることが知られている。この糖脂質の欠損が他の脂質に与える影響を調べるため、精子形成が停止する12日齢前後の野生型およびセミノリピド欠損マウスの精巣を用いて分析することとした。 1.マウス試料の採取:細胞周期がそろっている第一ウェーブの中で、精母細胞が分化するレプトテン期からパキテン期に注目し、セミノリピド合成酵素(CGT)遺伝子ノックアウトマウスへテロ接合体の交配により生まれた同胞のマウスを日齢ごとに集め、精巣を採取した。 2.リン脂質分析:12日齢前後のマウス精巣試料は微量のため、リン脂質を網羅的に分析するための薄層クロマトグラフィー(TLC)法を検討した。その結果、総脂質画分を用いた1回のTLCによる主要リン脂質を分離・定量に成功した。この方法を用いて、日齢によるリン脂質パターンの変動を見出した。さらにチタニアを用いてコリン含有脂質のみを分離し、MALDI-TOFMSにより、分子種も含めた情報が得られることが明らかになった。 3.プロテオーム解析:貴重な精巣試料を有効利用するため、2における脂質抽出残渣を用いて2次元DIGE法によるプロテオミクスを行い、セミノリピド欠損マウス精巣において発現量が異なる複数のスポットを見出した。
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Research Products
(1 results)