2011 Fiscal Year Research-status Report
スフェロイドによる新規初代培養系を用いた薬剤感受性試験の膀胱癌治療への臨床応用
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23659766
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
中山 雅志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 泌尿器科, 副部長 (40379178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / テーラーメイド医療 |
Research Abstract |
研究目的:手術で摘出した組織をスフェロイドとして初代培養する系(cancer tissue-originated spheroid:CTOS)を用いて、膀胱癌を対象とした薬剤感受性試験の臨床応用を目指す。具体的には、局所進行性膀胱癌患者に対する全身化学療法の治療効果の予測および、筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法における治療効果を予測する新規バイオマーカーの検索を行う。研究方法:抗癌剤に対する薬剤感受性の評価は、抗癌剤添加後のCTOSのサイズおよびATP assayにて行った。新規バイオマーカーの検索はcDNAマイクロアレイを用いてCTOS のmRNA発現プロファイルを解析した。研究成果:当該研究開始以前からの症例も含め、膀胱癌145例の検討において、101例(69.7%)でCTOSの形成を認めた。うち3例は移植腫瘍として継代可能となった。局所進行性膀胱癌患者に対する全身化学療法の治療効果の予測に関する研究では、薬剤感受性試験でシスプラチンに対し感受性があった2例中2例で臨床的治療効果を認めた。一方、感受性試験で耐性であった5例中4例は、全身化学療法に対し明らかな効果が認められなかったか無効であった。ジェムシタビンに対する薬剤感受性試験で感受性があった4例中3例で臨床的治療効果を認めたが、感受性試験で耐性であった3例は全例、臨床的に明らかな効果が認められなかったか無効であった。経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法の治療効果予測新規バイオマーカーの検索に関しては、ヒト膀胱癌細胞株3例と膀胱癌より樹立したCTOS 5例の計8例でmRNAの発現プロファイル解析し、CTOSと細胞株の比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
局所進行性膀胱癌患者に対する全身化学療法の治療効果の予測に関する研究では、ほぼ計画通りに進行している。筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法における治療効果を予測する新規バイオマーカーの検索に関しては、cDNAマイクロアレイを用いたmRNA発現プロファイル解析において今年度膀胱癌より樹立したCTOSとヒト膀胱癌細胞株におけるmRNA発現プロファイルの比較検討を行ったため、薬剤感受性試験に対する感受性群と耐性群間の比較を行う事ができず、研究の進捗状況に若干の遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
局所進行性膀胱癌患者に対する全身化学療法の治療効果予測に関する研究においては、これまでの研究を継続し、症例を増やしていく。筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法における治療効果を予測する新規バイオマーカーの検索に関する研究においては、CTOSを用いた薬剤感受性試験結果により抗癌剤(ピラルビシン)に対する感受性群と耐性群にグループ分けし、cDNAマイクロアレイを用いてmRNA発現プロファイルを解析する。両群のmRNA発現プロファイルを比較検討し、新規バイオマーカー候補遺伝子を同定する。その後、オリジナルの膀胱癌組織における候補遺伝子の発現およびCTOSにおける候補遺伝子の発現を多数症例で解析し、CTOSを用いた薬剤感受性試験結果と比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は今年度の繰越金729,815円に次年度交付額の900,000円を加え、計1,629,815円の研究費がある。筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法の治療効果を予測する新規バイオマーカーを同定する研究におけるcDNAマイクロアレイを用いたmRNA発現プロファイル解析に関して、今年度はまず膀胱癌より樹立したCTOSとヒト膀胱癌細胞株におけるmRNA発現プロファイルの比較検討を行った。そのため、薬剤感受性試験に対する感受性群と耐性群を比較するためのcDNAマイクロアレイ解析を行うことができず、729,815円の繰越金が生じた。次年度は、まず新規バイオマーカー候補遺伝子同定を目的として、薬剤感受性試験に対する感受性群CTOSと耐性群CTOSのcDNAマイクロアレイ解析を行い、両群のmRNAの発現プロファイルを比較検討する。cDNAマイクロアレイ解析の受託研究費として756,000円使用する。オリジナルの膀胱癌やCTOSにおける同定した新規バイオマーカー候補遺伝子の発現解析に用いる試薬代やCTOS培養のための試薬代など物品費として473,815円使用する。また、学会発表や調査のための旅費・学会参加費・宿泊費に250,000円、論文投稿のための英文添削料や論文投稿料に150,000円使用する。
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