2012 Fiscal Year Annual Research Report
スフェロイドによる新規初代培養系を用いた薬剤感受性試験の膀胱癌治療への臨床応用
Project/Area Number |
23659766
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
中山 雅志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 泌尿器科, 副部長 (40379178)
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Keywords | 膀胱癌 / テーラーメイド医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、手術で摘出した組織をスフェロイドとして初代培養する系(cancer tissue-originated spheroid:CTOS)を用いた薬剤感受性試験を膀胱癌に対して臨床応用化することである。具体的には、局所進行性膀胱癌患者に対する全身化学療法の治療効果の予測および、筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法における治療効果を予測する新規バイオマーカーの検索の2点を行った。 経尿道的膀胱腫瘍切除術にて得られた膀胱癌組織135例中115例でCTOS培養が可能であった。筋層非浸潤性膀胱癌におけるCTOS培養成功率が90.7%であったのに対し、筋層浸潤性膀胱癌では63%であった。 全身化学療法の治療効果の予測に関しては、GC療法(ジェムシタビン+シスプラチン)を施行した7例おける解析結果において、いずれかの薬剤に感受性を認めた4例中3例は腫瘍の30%以上の縮小を認めた。一方、2剤ともに感受性試験耐性であった3例中2例は化学療法施行中に腫瘍の増大を認めた。 経尿道的膀胱腫瘍切除直後の膀胱内注入化学療法における治療効果を予測する新規バイオマーカーの検索では、CTOSを用いたcDNAアレイ解析結果よりマーカー候補遺伝子の選定を行ったが、本研究期間中に有効なマーカーの同定はできなかった。しかし、膀胱内注入化学療法では高濃度の抗癌剤が直接癌細胞に曝露されるため、抗癌剤全身投与とは異なる殺細胞作用機序を持つ可能性があることを示す結果が得られた。そこで今後は、cDNAアレイ結果からマーカー遺伝子の同定を継続すると同時に、高濃度の抗癌剤が直接癌細胞に曝露した際の殺細胞作用機序をさらに解明し、その作用機序からもマーカー遺伝子の同定も進める予定である。
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