2011 Fiscal Year Research-status Report
婦人科腫瘍におけるメタボローム解析と関連遺伝子発現・遺伝子多型に関する検討
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23659780
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森田 宏紀 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00379364)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / メタボローム解析 |
Research Abstract |
本研究では、アミノ酸や有機酸、糖、脂肪酸など低分子代謝産物を網羅的に測定が可能な、高感度クロマトグラフィーと質量分析計を組み合わせた複合解析システムを使い、婦人科腫瘍に対するメタボローム解析を実施する。婦人科腫瘍の発症による一連の代謝産物の変動をパターン解析し、さらには、婦人科腫瘍の早期診断に有用な新規バイオマーカーを同定するメタボライトプロファイリングを採用することで、治療効果予測や予後判定を含む新たな癌早期診断法の開発へ向けた研究を行う。本研究では、婦人科腫瘍の早期診断、ならびに治療効果予測が可能なマーカーの確立を目的とし、インフォームド・コンセントを受けた婦人科腫瘍患者から提供を受けた臨床検体を用いてメタボローム解析を実施した。婦人科悪性腫瘍として子宮頚癌、子宮体癌、卵巣癌について治療開始前と治療終了後に患者から血清を採取した。クロロホルム/メタノール/水を用いた液液分配により、血清からアミノ酸や有機酸など低分子代謝産物の抽出を行った。また、コントロールとして健常人の血清からも同様に低分子代謝産物を抽出した。抽出液をガスクロマトグラフィー質量分析計に供し測定を実施し、得られた測定データを用いて多変量解析のひとつである主成分分析により統計処理を行うことで、各疾患と、健常人の血清の低分子代謝産物の存在パターンがそれぞれ異なるのか否かを統計学的に解析中である。また、同疾患について手術などで治療終了後の血清も採取し(治療により寛解が期待される検体を使用)、同様にガスクロマトグラフィー質量分析計による測定を実施して、治療後の血清代謝産物存在パターンが健常人に近づくのか否かなどを検討することで、治療効果判定マーカーへの適用性に関して検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の様に、婦人科悪性腫瘍として子宮頚癌、子宮体癌、卵巣癌について治療開始前と治療終了後に患者から血清を採取した。クロロホルム/メタノール/水を用いた液液分配により、血清からアミノ酸や有機酸など低分子代謝産物の抽出を行った。また、コントロールとして健常人の血清からも同様に低分子代謝産物を抽出した。抽出液をガスクロマトグラフィー質量分析計に供し測定を実施し、得られた測定データを用いて多変量解析のひとつである主成分分析により統計処理を行うことで、各疾患と、健常人の血清の低分子代謝産物の存在パターンがそれぞれ異なるのか否かを統計学的に解析中している。また、同疾患について手術などで治療終了後の血清も採取し(治療により寛解が期待される検体を使用)、同様にガスクロマトグラフィー質量分析計による測定を実施して、治療後の血清代謝産物存在パターンが健常人に近づくのか否かなどを検討することで、治療効果判定マーカーへの適用性に関して検討中である。質量分析計にての測定結果の分析はPCを利用した手作業であり、1検体ずつ時間を要するためまだしばらく解析に時間を必要としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今までに得られた測定結果を用いて、実際に変動している低分子代謝産物を神戸大学が保有しているデータベースなどを用いることで同定し、婦人科腫瘍患者と健常人との間で変動するものや、治療前後で変動する低分子代謝産物などを明らかにしていき、早期診断や治療効果判定に採用できるバイオマーカー候補を決定する。子宮頚癌、子宮体癌、卵巣癌患者といった婦人科腫瘍の治療前や初回手術中に生検組織を得て、その組織を癌部と非癌部とに分別する。続いて、癌部組織と非癌部組織からそれぞれアミノ酸や有機酸など低分子代謝産物を抽出を行い、ガスクロマトグラフィー質量分析計によるメタボローム解析を実施する。これにより癌部、非癌部との間で変動している低分子代謝産物を網羅的に解析していき、その結果をKEGG代謝マップ等のデータベースとを比較検討することで、婦人科腫瘍を発症することでどのような代謝経路が変動しているのか検討していく。さらに、課題Iでの成果を照らし合わせることで、血清中にみられる低分子代謝産物の変動がどのようにして誘導されたのかを明らかにしていく。今年度残額が発生したが、平成24年度予算と合算して使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まずPCを駆使して現在までに得られたデータ分析を行う。必要なPCソフトまたデーターバックアップ用の機器などPC周辺機器の必要な分を購入する。次年度が本計画の最終年度であるの成果発表のため国内旅費、外国旅費を計上する。それに合わせて出版用の印刷費、複写費、出版社との通信費を予定する。また不足のデータにつき追加実験を行うための試薬、薬品、プラスチック・ガラス消耗品の購入を予定する。
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Research Products
(1 results)