2011 Fiscal Year Research-status Report
生殖制御における未知の分子基盤を解き明かす新規分子の機能
Project/Area Number |
23659782
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平田 雅人 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60136471)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 性腺 / 性ホルモン / 遺伝子欠損マウス / 排卵障害 / 性腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
新規のタンパク質を見いだしPRIP(PLC-related, but catalytically inactive protein)と命名した。その遺伝子欠損(KO)マウスでは、出産仔数が少ない、出産間隔が長いなどの生殖に関する異常を示し、雌に起因することが分かった。そこで、PRIP欠損が雌の生殖系器官の何処にどの様な異常をもたらすのかを明らかにすることを目指した。 (1)PRIPの有無によって生じる生殖器官への影響を調べた。野生型、KOマウスについて、体重および下垂体、子宮、卵巣、副腎などの生殖にかかわる器官の大きさ、形態、重量等を計測したが、生殖可能月齢以降の子宮の大きさが小さかった。肉眼的に他の変化は無かった。次いで、発情周期を調べた。KOマウスでも周期的な変化は示したが、発情期がやや長かった。 (2)そこで、生殖器系を司る視床下部―下垂体―性腺(HPG axis)のホルモンを定量した。ゴナドトロピン(LHとFSH両方とも)は高値を呈したが、プロゲステロンは約50%と低値であった。一方、エストロゲンはやや低値であるものの有意差は示さなかった。 (3)野生型ならびに KOマウスから摘出した下垂体前葉の器官培養をし、高K+溶液あるいはブセレリン(GnRHの代用ペプチド)刺激によって分泌されるゴナドトロピンを定量した。KOマウスの下垂体からのゴナドトロピン分泌は非常に亢進していた。このことはPRIPが開口分泌を抑制していることを示す。 (4)これらのことはPRIPの欠損によってHPG axisのうち上位のHPは亢進するが、Gすなわち性腺が応じていないことを示す。そこで、性腺の組織学的な検討をした。著明な相違はみとめられなかったが、KOマウスの卵巣には排卵に至らない構造がやや多いように見受けられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的ならびに研究実施計画に従って実験研究を遂行し。23年度に計画した事はおおむね達成出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)薬剤による強制排卵を行い、排卵数の変化や卵巣の組織学的な検討を行う。KOマウスが示した出産仔数が少ないなどの生殖に関する異常が排卵の異常であるかについて検討する。本年度の成果のうちのプロゲステロン濃度が低値であることを考慮すると排卵の困難さがあり、黄体形成が不全であることが予想される。(2)強制排卵処理したマウスから遺伝子を抽出して、DNAマイクロアレーによる検討をして、とりわけ卵胞の成熟や排卵に関連する遺伝子の増減について検討する。(3)これらの結果を総合的に判断して、PRIP遺伝子欠損によるメスの生殖異常のプロセスを明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(実験用消耗品費):100万円その他(遺伝子改変動物飼育委託費):40万円
|
Research Products
(5 results)