2011 Fiscal Year Research-status Report
剖検肺組織標本のマイクロRNA網羅的発現解析による羊水塞栓症発症機序解明への挑戦
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23659786
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
米山 剛一 日本医科大学, 医学部, 講師 (90220772)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 羊水塞栓症 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実施計画は、当初、羊水塞栓症並びに対照として羊水塞栓症以外の原因で亡くなられた妊婦症例の解剖例肺組織標本用いて1. Laser microdissection(LMD)法を用いた標的組織(肺小血管、子宮筋)の採取、2. RNAの抽出:ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織からのRNA抽出であった。1. Laser microdissection(LMD)法を用いた標的組織(肺小血管、子宮筋)の採取では特に肺小血管に着目していた。当初の計画と大きく異なる点は、肺組織の薄切標本、1枚あたりに肺小血管の数はさほど多くはなかった点である。そのために、薄切一枚分により得られた肺組織全体からRNAを抽出することとした。2RNAの抽出:ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織からのRNA抽出の過程で問題となったのは、解剖例の古いものは約25年前の症例であったことである。このような症例からマイクロRNAが検出されるかどうかが問題であった。個々の症例の組織標本により差異が認められるものの古い症例の組織からでもマイクロRNAが検出されることが明らかとなった。FFPEから抽出されたRNAの評価としては、通常のRNAのクオリティーの評価であるRIN(RNA Integrigty Number)値が7.8以上という評価ではなく、A260(核酸)/A280(蛋白)で評価(1.8~2.0が良好)した。すべてが良好といかないまでもmiRNAの検出、アレイでの評価には耐えられるものと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上でも述べたように、当初の計画と大きく異なる点は、肺組織の薄切標本の中で特に肺小血管に注目していたが、1枚あたりに肺小血管の数がさほど多くはなかった点である。そのために、薄切により得られた一枚分の肺組織標本全体からRNAを抽出することとした。また、解剖例の古いものは約25年前の症例であったことが判明した。このような症例からマイクロRNAが検出されるかどうかが問題であった。しかし、試行錯誤を重ね時間を消費したが解析可能であると判断した。これらの作業に時間が費やされ、達成度はやや遅れているというのが現況である。。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、1.miRNAの網羅的発現解析、2. miRNAプロファイリングの結果の統計解析、3. 発現変動miRNAが標的とする遺伝子の推定を行う予定である。1.miRNAの網羅的発現解析に関してはAgilent microRNA用マイクロアレイ解析を使用予定である。このアレイでは866種類のヒトmiRNAを標的としたプローブがスポットされている。2. miRNAプロファイリングの結果の統計解析に関してはSAM法あよびFold Change法を併用する。3. 発現変動miRNAが標的とする遺伝子の推定に関しては標的遺伝子の予測プログラムで推測する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の如く、平成24年度の研究費の使用計画に関しては、1.ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織からのRNA抽出、2.miRNAの網羅的解析:網羅的解析にはAgilent microRNA用マイクロアレイ解析を使用予定である。研究費の多くはこれら1、2の試薬にあてる予定である。すなわち、QUIAGEN社のRNAeasy FFPE分離キット(50回分:¥48500X10=¥485000)、Agilent microRNA用マイクロアレイ解析¥562000等を使用予定である。
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