2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミューラー管悪性腫瘍における癌幹細胞の同定と新たな治療戦略の確立
Project/Area Number |
23659787
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
江本 精 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (80258540)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / ミューラー管悪性腫瘍 / 子宮癌肉腫 / CD133 / 間葉系幹細胞 / 血管新生 / FU-MMT-1 / SOX2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミューラー管に発生する悪性腫瘍は悪性度が極めて高く予後不良な疾患であるが、その代表的腫瘍である子宮癌肉腫の組織発生は依然として不明であり病態もまだ十分に解明されていない。近年、がん幹細胞の研究が発展し、数種の悪性腫瘍でがん幹細胞が同定されてきた。我々は婦人科系腫瘍の中でも最も悪性度が高く多分化能を有する子宮癌肉腫はがん幹細胞腫瘍であるとの仮説をたて、本課題において研究を行った。その結果、我々が過去に樹立したヒト子宮癌肉腫株FU-MMT-1に対してCD133抗体をがん幹細胞のマーカーとして用いることにより、子宮癌肉腫のがん幹細胞集団の選別に成功した。CD133陽性FU-MMT-1細胞はCD133陰性細胞と比較して、高い細胞塊形成能、増殖能、コロニー形成能、異種移植能を認めた。がん幹細胞遺伝子と考えられているOCT4, NANOG, SOX2, C-MYC, BMI-1の遺伝子発現も高度であり、CD133陽性FU-MMT-1細胞は子宮癌肉腫のがん幹細胞集団であることが示唆された。またCD133陽性細胞はCD44, CD29, CD90等の間葉系マーカーの発現も高度であった。さらに同細胞集団はホルモンセレプター及び、ミューラー管遺伝子であるPAX2, WNT4の発現も高度であり、ミューラー管起源であることが示唆された。加えて、同細胞集団はVEGFの発現も高度で、高い血管新生能が示唆された。従って、同細胞集団を用いることにより、悪性度の高い子宮癌肉腫に対する新たな治療戦略の構築が可能となる可能性が示唆された。
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