2012 Fiscal Year Research-status Report
不妊病態に関わるCD9およびエキソソームの卵管/子宮内における働き
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23659788
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮戸 健二 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 室長 (60324844)
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Keywords | CD9 / 子宮 / 再生 / VEGF / エキソソーム / 不妊 |
Research Abstract |
申請者は、精子と卵の細胞融合を促進する卵側因子として膜4回貫通型タンパク質ファミリー(テトラスパニン)の仲間であるCD9が必須で(Miyado et al., Science, 2000)、さらに、CD9を主な構成成分とする膜構造体(exosome, エキソソーム)が存在することを明らかにしてきた(Miyado et al., PNAS, 2008)。本研究では、卵管から子宮内に存在するCD9を含むエキソソームの生理機能、特に、“子宮内膜上皮層の再生”における役割について研究を行っている。子宮の機能異常については、CD9欠損マウスに卵特異的にCD9-GFPの融合タンパク質を発現するトランスジーンを導入したマウス(CD9-/-TGマウス)を用いて解析を行い、現在までに、CD9-/-TG雌マウスの産仔数が、野生型マウスと異なり、出産回数にともなって減少することを見出している。産仔数が、出産回数依存的に低下する原因としては、子宮上皮細胞の再生が遅延していることが免疫組織学的に明らかになった。CD9は、細胞接着因子であるインテグリンα6およびE-カドヘリンの補助因子として機能することも知られているが、CD9-/-TG雌マウスの子宮上皮細胞における局在は、野生型マウスと同様であった。そこで、免疫電顕により、野生型マウスの子宮内液を調べたところ、卵と形態的に類似した構造体にCD9が局在することが明らかになった。さらに、子宮内液における液性因子の定量を20因子について行ったところ、VEGF-Aを含む8因子について発現の低下が認められた。VEGF-AとCD9の子宮内腔における局在を免疫組織学的に調べたところ、共局在が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD9欠損マウスは雌性不妊を発症し、その原因は卵の精子との融合異常だけだと考えられている。一方、CD9欠損雌マウスの卵子にCD9-GFPを発現させたマウスの場合は、産仔数が回復するものの、出産回数による産仔数の変化を調べたところ、2回目から産仔数が激減することがわかり、CD9は子宮でも何らかの役割を担っている可能性が出てきた。子宮内膜上皮の基底層にCD9が局在することが知られており、インテグリンとの関連が示唆されていたが、本研究から、インテグリンとの関連ではなく、CD9を含むエキソソームを介したVEGF-A放出機構といった新しい概念の創出につながる研究を進めている。論文作成にともない若干の追加データを取得する必要があるものの、全体の流れを決めるCD9欠損マウスの子宮内膜上皮の再生遅延と、CD9を介したVEGF-Aの分泌機構についての結果は既に得られている。後は、CD9を介してVEGF-Aを放出する細胞の細胞種を特定することが残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜上皮の初代培養細胞から、CD9を含むエキソソーム分泌細胞を特定することができれば、子宮内膜上皮再生における分子メカニズムに関しての詳細な検討が可能となる。マウスの子宮上皮細胞の培養をすでに始めていることから、年度内で結果を出すことは十分可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養や解析のための試薬・器具の購入、成果発表のための旅費、実験補助者への謝金に充当する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Beta-catenin functions pleiotropically in differentiation and tumorigenesis in mouse embryo-derived stem cells2013
Author(s)
Okumura N, Akutsu H, Sugawara T, Miura T, Takezawa Y, Hosoda A, Yoshida K, Yamada M, Hamatani T, Miyado K, Yoshimura Y, Umezawa A
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 1
Pages: 1
Peer Reviewed
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[Journal Article] CD81 and CD9 work independently as extracellular components upon fusion of sperm and oocyte2012
Author(s)
Ohnami N, Nakamura A, Miyado M, Sato M, Kawano N, Yoshida K, Harada Y, Takezawa Y, Kanai S, Ono C, Takahashi Y, Kimura K, Shida T, Miyado K, Umezawa A
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Journal Title
Biol Open
Volume: 15;1(7)
Pages: 640-7
DOI
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