2011 Fiscal Year Research-status Report
超極細マルチマイクロ電極を用いた聴神経周波数地図の確立
Project/Area Number |
23659789
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
日高 浩史 東北大学, 大学病院, 講師 (40302103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 蝸牛神経インプラント / 周波数地図 / 微細電極 |
Research Abstract |
本研究では、将来の聴神経インプラントによる聴覚再獲得の可能性の検討を目的に、(1)蝸牛神経記録用の新しい超極細マルチマイクロ電極の作成、並びに(2)聴神経の生理学的周波数地図の作成をする。 本年度は、一本の針状に8つ以上の記録電極を有する極細径のシリコン電極単電極の試作(研究分担者の田中が担当)、ラットを用いた蝸牛神経からの周波数応答の記録試験(川瀬が担当)を行った。尚、記録試験は、当初の研究計画では東北大学医学部耳鼻咽喉科学教室所有のシステムを用いて実施予定であったが、震災のために一部備品が破損し、記録に支障が生じていたため、急遽、東北大学加齢医学研究所川島研究室の小川の協力を得て、同施設の実験設備をもちいて実施した。 その結果、極細径シリコン電極により記録は可能であったが、本電極による記録は、原則、記録電極周囲の多数の神経活動の細胞外記録となるためか、音刺激に対する周波数分解度(神経周波数応答曲線のQ10値)がガラス電極による単一ニューロン記録に比して不良であること、可能であれば電極に追加的に作成予定であったマーキングチャネルは、神経への物理的影響が大きく(マーキングチャネルの作成により神経サイズに比して電極サイズが大きくなるため)、現実的ではないことが判明した。そのため、従来、研究協力者の小川らが行っている、電極に色素を直接付着しマーキングを行う方法をもちいて電極刺入部位の同定を行った。記録後、動物をホルマリン固定し、蝸牛神経の刺入部位同定に関する組織学的検討を行ったが(日高が担当)、電極による組織障害の程度は軽微で、電極の設計サイズ上の問題点はないものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
震災の影響もあり、当初予定していた研究設備を用いた検討は困難となったが、他施設(東北大学加齢医学研究所川島研究室)の協力を得ることで、研究内容的には、研究計画通り、1)極細径のシリコン電極単電極の試作、2)蝸牛神経からの周波数応答の記録試験を実施しすることができ、その問題点の抽出を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
原則的には、今後も当初の研究計画通り、極細径のシリコン電極単電極の作成と同電極を用いた蝸牛神経からの周波数応答の記録を継続するが、研究目的の一つである、蝸牛神経の周波数地図の作成のためには、当初計画に加え、微細ガラス電極による周波数地図の作成、トレーサーを用いた組織学的検討についても考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画通り、23年度の研究結果を基にした櫛状電極の作成(田中、大学院生)、同電極を用いた電気生理学的記録ならびに解析(川瀬、小川(加齢医学研究所、研究協力者)、組織学的検討(日高:23年度と同様に、ホルマリン固定後H-E染色を行い、光学顕微鏡により、組織障害の程度、電極刺入経路の同定の良否、マーキング部位同定の良否を評価)を進めるが、さらに、本年度の結果を踏まえ、微細ガラス電極を用いた周波数地図の作成も検討する(川瀬)。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、平成24年度の研究推進に必要な、動物購入、消耗品、並びに、情報収集に使用する。
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