2012 Fiscal Year Research-status Report
超極細マルチマイクロ電極を用いた聴神経周波数地図の確立
Project/Area Number |
23659789
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
日高 浩史 東北大学, 大学病院, 講師 (40302103)
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Keywords | 蝸牛神経インプラント / 周波数地図 / 微細電極 |
Research Abstract |
本研究では、将来の蝸牛神経インプラントによる聴覚再獲得の可能性の検討を目的に、①蝸牛神経記録用の新しい超極細マルチマイクロ電極の作成、並びに②聴神経の生理学的周波数地図の作成を行う。 平成23年度には、一本の針状電極に8つ以上の記録電極を有する極細径のシリコン単電極の試作し、ラットを用いて蝸牛神経からの周波数応答の記録試験行ったが、1)同電極は刺激電極としては適応可能であるが、2)本電極による記録は、記録電極周囲の多数の神経活動の細胞外記録となるためか、音刺激に対する周波数分解度(神経周波数応答曲線のQ10値)がガラス電極による単一ニューロン記録に比して不良であることが示唆された。 そこで本年度(平成24年度)は、ガラス電極を用いた蝸牛神経の周波数構造と蝸牛神経の解剖学的構造の比較検討を実施した。その結果、蝸牛神経は蝸牛のラセン構造に起因するラセン構造を有しているため、平成23年度作成の針状マルチ刺激電極で、人工聴覚器として必要最低限の周波数情報を伝達しえることが確認された。 また、これまでの知見は、動物を用いた検討から得られたものであるが、実際にはヒトの蝸牛神経の構造を明らかにする必要が考えられたため、平成24年度は、ヒト骨ラセン板、並びに内耳道における蝸牛神経の組織学的検討を開始した。解析可能なヒト蝸牛神経のほとんどは、高齢者の蝸牛神経であり、高周波数を担当する部位の有毛細胞は障害が高度であったが、蝸牛神経は一定数は残存していた。また、蝸牛神経は、その軸索径、並びに音刺激に対する閾値により3つのグループに分類されているが、軸索径の検討からは、いずれの3グループの神経も残存していることが示され、本研究で試用している極細径のシリコン電極は、ヒトにも応用可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に加え、新たに、ヒト蝸牛神経の解析を追加するなど、研究遂行過程で生じた新たな問題点の解決も順調にすすめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に加え、平成24年度から新たに開始したヒト蝸牛神経の構造解析をさらにすすめ、研究の最終目標の一つである、研究結果から得られた知見をもとにした極細径のシリコン電極設計の提案とプロトタイプの試作を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究推進に必要な、電極作成費(田中、大学院生)、組織染色用抗体、薬品類の購入(日高、川瀬)、動物購入(日高、川瀬哲)、並びに、情報収集のための旅費、投稿論文のための英文校正費用(川瀬、田中、日高)などに使用する。
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Research Products
(2 results)