2011 Fiscal Year Research-status Report
組換え体乳酸菌を用いた頭頸部進行・再発癌に対する遺伝子治療の開発と臨床応用
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23659791
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅田 行紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70436103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / 組換え体乳酸菌 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
ヌードマウスに頭頸部扁平上皮癌細胞株HSC2、SASの2種を移植し、形成した腫瘍にヒトIL2導入組換え体乳酸菌および非組換え体乳酸菌(lactobacillus casei)を5x108 cfu、5日間連続局所注入した。腫瘍の体積を測定していくと10日目までにIL2導入乳酸菌は明らかにコントロールに比し、強力な腫瘍抑制を示した。さらに18日後には一例で腫瘍の消失を確認した。また、非組み換え体でも組換え体に比較して弱いながらもある程度の腫瘍抑制効果を示した。これらのヌードマウスから採取した臓器を病理学的に検討したところ、肺、肝、腎などいずれの組織中にも菌体は確認できず、また臓器障害も認められなかった。これらの結果から乳酸菌(lactobacillus casei)には頭頸部扁平上皮癌の増殖を抑制する働きがあり、IL2導入組換え体乳酸菌ではその効果がさらに高まることが明らかとなった。また、ヌードマウス個体の臓器内では細菌が認められず、安全に投与可能と考えられた。この腫瘍抑制効果は乳酸菌の持つ腫瘍免疫増強作用によるものと考えられ、現在種々のサイトカインについてヌードマウス個体での誘導が認められるかどうかを検討している。 長期実験の結果はまだ完全に出てはいないが、短期実験の際でもコントロール群のヌードマウスではやせが顕著で食欲も低下するのに対し、乳酸菌注入群ではやせも軽度で元気な個体が多く,長期生存が期待できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災で、これまで使用してきた研究棟が損壊し1ヶ月以上立ち入り禁止となった。停電が続いたため検体や試薬を貯蔵していた冷蔵庫、冷凍庫、超低温冷凍庫などが使用不能となり内部のものがすべて使えなくなってしまった。このため新たに他施設から細胞株、細菌株の供与を受けなければならなくなり、実験開始が大幅に遅れた。また、実験の一部を分担研究者がいる岩手医科大学で行うこととなったため、新たに倫理委員会や、動物実験施設などへの組換え体使用の申請が必要となり、このための時間も必要であった。さらに実験開始のための研究室の準備なども必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.短期実験では腫瘍抑制効果と安全性は確認できたので、今後臨床応用を目指すために、さらに長期実験を行う。すなわち乳酸菌投与後の抗腫瘍効果および生存率を検討するばかりではなく、発熱、摂食、体重などの生体反応の変化をモニターすると同時に臓器の障害など副作用の検討を行う。2.乳酸菌による抗腫瘍効果には細胞性免疫担当細胞、液性免疫担当物質(インターロイキンなど)の関与が予想される。ヌードマウス個体の血清中にはTNFα、IL12などのインターロイキンが多量に増加し、Th1型の免疫誘導を行うことが予想される。今後、さらに組換え体乳酸菌を用いることにより、どのような腫瘍免疫が誘導されるのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は消耗品費として使用される。具体的には細胞培養用試薬、牛胎児血清、細菌培養用試薬、ヌードマウス購入費などである。さらに病理学的検討のための費用、サイトカイン測定のための費用などが必要である。旅費は主に研究者の打ち合わせや学会発表のために用いられる。
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Research Products
(2 results)