2011 Fiscal Year Research-status Report
内耳欠損マウス胚への幹細胞注入による内耳組織の誘導
Project/Area Number |
23659793
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50335270)
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
山本 典生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70378644)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 胚盤胞補完 / 内耳欠損マウス |
Research Abstract |
平成23年度の実験計画に従い、Sall1ノックアウトマウスの内耳形態を評価した。Sall1ノックアウトは、PCRによるジェノタイピングと腎無形成の双方を確認することで行った。発生過程においてSall1に影響を受けるPax2やSix1のノックアウトマウスでは内耳が形成されないためにSall1ノックアウトマウスは内耳が無形成になるとの仮説を立てたが、予想に反し、Sall1ノックアウトマウスの内耳はgross anatomyでは正常であった。 しかしながら、内耳は蝸牛、前庭に分けられ、感覚細胞である有毛細胞とそれらをとりまく支持細胞で構成される複雑な形態をなすために、内耳の各機能細胞が欠損している可能性を考え以下の実験を行った。 出生直後のSall1ノックアウトマウスの内耳を摘出し、4% PFAで固定後、10μmの凍結切片を作成した。先ずはHE染色にて蝸牛形態を評価した。ネガティブコントロールにはlittermateの野生型マウスを用いている。WTと比較して、蝸牛構造(前庭階、中央階、鼓室階、蝸牛軸、コルチ器)に差は認めなかった。有毛細胞の有無を確認するために、Myosin6あるいはMyosin7aによる免疫組織化学により形態を評価した。CounterstainとしてPhalloidinを用いた。蝸牛においてSall1ノックアウトマウスは3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞を有し、whole mountの組織評価においても、planar cell polarityが正常な3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞を有するコルチ器が形成されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の計画は、内耳が無形成なはずのSall1ノックアウトマウスの胚盤胞に正常なGFPでラベルされたES細胞を注入し、正常のES細胞由来の内耳がin vivoで形成される検証を行うはずであったが、当初の予想に反して、Sall1ノックアウトマウスの内耳は正常の形態を保っていた。さらに内耳の各機能細胞の欠損の有無を検証していたために、胚盤胞へのES細胞注入の施行にまでは至っていない。生後数日でSall1ノックアウトマウスは死亡するために内耳機能(ABR, DPOAE)を検証することも不可能である。Sall1ノックアウトマウスにおいて内耳の他の細胞(支持細胞や血管条)が欠損している可能性があり、もしこれらの細胞が欠損していれば胚盤胞補完のモデル動物になり得るために、支持細胞マーカーSox2やProx1、あるいは血管条のマーカーKcne1, Claudin11などのSall1ノックアウトマウスにおける発現を現在検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳欠損マウス胚への幹細胞注入による内耳組織の誘導には、内耳欠損マウスの確保が必要不可欠である。Sall1ノックアウトマウスの内耳形態が正常であったために、平成24年度はPax2ノックアウトマウス、Six1ノックアウトマウスの内耳形態を検証して、欠損が確認され次第速やかにES細胞の胚盤胞への注入に移行する予定である。また、並行してSall1ノックアウトマウスの内耳細胞の欠損の有無を支持細胞、血管条マーカーも用いて検証予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度使用予定の研究費の内、試薬、実験動物に要する全体に対する割合は約70%である。試薬は、ES細胞培養に必要な薬剤、ノックアウトマウスのジェノタイプに必要なPCR試薬を含む。実験動物の飼育費用は引き続き実験の遂行に必要であり計上した。国内・国外学会での成果発表に必要な経費を計上した。また、論文発表に伴う英文校閲、論文投稿料などは本研究で得られた結果を外部に発信するために必須である。
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