2012 Fiscal Year Research-status Report
時間差、音圧差、時間差・音圧差取引による補聴器、人工内耳の両耳聴の研究
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23659802
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
加我 君孝 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター(政策医療企画研究部), 名誉臨床研究センター長 (80082238)
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Keywords | 医療・福祉 / 臨床 |
Research Abstract |
方向感検査装置を用いて500Hz Band noiseを検査音として下記の研究を行い、次の①~⑥の新しい知見を得た。①両側中~高度感音難聴者では、両側気導補聴器下に時間差も音圧差も成立することがわかった。②両側中耳奇形による両側気導補聴器装用下では、時間差も音圧差も成立し、かつ感音難聴者の検査結果よりも閾値が低いことがわかった。③両側外耳道閉鎖症に対する両側骨導補聴器装用下では、時間差も音圧差も成立する例が多いが、閾値は高く、かつバラツキが多いことがわかった。④4.片側人工内耳、反対側補聴器装用下では、時間差は±400μsecでは成立しないが、音圧差について成立することがわかった。人工内耳は片側でも両側でも時間差の成立は困難であるが、音圧差は成立する。両耳音圧差の認知機能を生かして音源定位やノイズ下の聴き取りの向上に貢献していると考えられる。⑤時間差・音圧差取引については、両側気導・両側骨導補聴下も成立する可能性を示したが、人工内耳を使う限りは成立しないことがわかった。⑥音楽の専門家の方向感検査を行い、非音楽家より時間差も音圧差も閾値が低いことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は2年間で終了する見込みで応募し幸い採択され、直ちに研究をスタートした。しかし研究対象の症例が1年目は十分な数でなく、2年目になって次第に増え始めた。1年目に研究設備は整備し検査自体は高いレベルで可能になっている。現在、test-retestを各症例ごとに進めており、統計学的に信頼できる数にするには、平成25年3月末までには不足で、現在のところ、平成25年度後半まで必要な症例数の研究が終了する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
この半年間、既に片側人工内耳手術を受けた成人並びに小学生が両側人工内耳装用を希望し、非術側の手術を希望する例が増加している。既に両側人工内耳手術を受けた3例の成人は、われわれ聴覚研究者が気づかない利点について体験報告をしており、これをもとに両耳分離能、両耳合成能の成立の有無について研究を推進予定である。 研究の成果は平成25年11月にトルコのアンタルヤで開催される第29回Politzer Society Meetingで発表する予定である。その内容を論文としてActa Otolaryngologicaに投稿予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の成果を発表するための海外出張旅費、英文論文の校正、統計処理のためのソフトウェア等の消耗費として使用する予定である。本研究の方法についてテキストを作成し、今後の研究者のための参考書とする。
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