2012 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障ステント手術の開発と線維柱帯の組織学的変化に関する研究
Project/Area Number |
23659809
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上田 潤 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10401746)
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Keywords | 二枚刃 / ゴニオトミーナイフ / トラベクロトミー / ゴニオトミー / ガイドプローブ |
Research Abstract |
緑内障手術には、大別して線維柱帯切除術と線維柱帯切開術があり、前者はより低い眼圧を狙える手術として緑内障手術の最期の切り札とも言うべき手術ですが、術後管理の難しさ、眼の持つ性質によって結果が一定しない、重篤な術後合併症(晩期濾過胞感染、眼内炎)がある、などの問題点があります。一方、後者は房水流出抵抗となっている線維柱帯組織を鈍的に切り裂くだけというシンプルな手技で、生理的なルートに房水を戻す理にかなった手術であり、術後管理も比較的容易ですが、15mmHg程度までしか眼圧が下がらず、切開した創が癒着すれば再び眼圧が上昇してしまう難点があります。定量性を持って、確実に眼圧を下降させることを目的とし、当初考案した方法は「シュレム管に管腔を広げるステントを留置し、術後にレーザー照射で線維柱帯に小孔を開けていき、眼圧を段階的に下げていく」というものでした。実際に250μmの極小バネを摘出豚眼のシュレム管に挿入して組織を観察しましたが、ステントの医療材料としての安全性の問題からこの方法は断念せざるを得ませんでした。次に、「シュレム管にあらかじめガイドプローブを挿入しておいて、新たに開発した二枚刃のゴニオトミーナイフを用いて線維柱帯を200μmの幅で切除する」という別な方法を考案しました。線維柱帯の切開創が閉鎖しにくくなり、シュレム管が完全に開放すること、全周に近い広範囲を切開できることなど、従来の手術に比べて安全確実に、より大きな眼圧下降が得られる可能性が期待されます。現在二枚刃ゴニオトミーナイフは、カイ・インダストリーズ社に依頼し、ほぼ実用レベルに近い試作品が完成しています。今後ガイドプローブについて、硬質プラスチックやナイロンモノフィラメントなどを用いて、挿入しやすく、破損しても眼内に異物を残さない、安全な試作品を完成させ、臨床応用を目指したいと考えております。
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Research Products
(1 results)