2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659810
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小泉 修一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10280752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 賢治 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (30194723)
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Keywords | グリア細胞 / ミューラー細胞 / 網膜神経節細胞 / ATP / P2Y6受容体 |
Research Abstract |
正常眼圧緑内障の全緑内障に占める割合が多いことが明らかとなり、従来の眼圧下降以外の治療法開発が強く求められている。網膜グリア細胞が、網膜神経節細胞(RGC)の機能・生存に影響していることから、グリア細胞の視点からRGCの保護・突起進展作用、ひいては新規治療戦略の開発に挑戦した。 1.網膜のアストロサイト様細胞であるミューラー細胞は、自発的にATPを放出し、P2受容体を介して自身の細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を引き起こしていた。 2.RGC単独培養系では、ATPは濃度依存的にRGCの突起伸展を促進した。薬理学的検討により、RGCの突起進展に関与する受容体は、UDPに高い感受性を有するP2Y6受容体であった。また、RGCがP2Y6受容体タンパクを発現し、また機能していることが明らかとなった。P2Y6受容体欠損動物では、RGCの突起進展作用が顕著に低下していた。 3.RGC-グリア細胞共培養系ではRGCの突起伸展が亢進し、これはATP/UDP分解酵素により退縮した。これより、グリア細胞が放出するヌクレオチドがRGCのP2受容体に作用して突起伸展が促進される可能性が示唆された。P2Y6受容体の下流で突起伸展に関与するシグナルとして、Akt及びGSK3bの関与が明らかとなった。 以上、網膜ミューラー細胞は、ATP/UDPを介したグリア伝達により、RGCの突起伸展亢進作用を有することが明らかとなった。このグリア伝達物質によるパラクライン様制御が、RGCの軸索変性の抑制、軸索流の改善に繋がる可能性が示唆された。また、モデル動物のミューラー細胞の異常活性化が認められたことは、グリア伝達の機能異常が、RGCの機能低下、さらに正常眼圧緑内障の分子病態と関連している可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)