2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫治療法開発のための脂肪由来幹細胞に関する基礎的研究
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23659834
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西野 健一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00138471)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / リンパ管内皮細胞 / VEGF-C |
Research Abstract |
脂肪由来幹細胞のリンパ管新生に対する基礎的研究を行った。ラット後肢リンパ浮腫モデルをKanterら(1990)の報告に準じて、放射線を鼠径部に45Gy照射し後日鼠径リンパ節郭清することで作製したが、放射線骨壊死により膝関節が露出するためこのモデルの使用を断念した。(照射量を30Gyにさげると放射線骨壊死は生じないが浮腫は1週間以内に消退した。)また、リンパ管内皮細胞の初代培養をMizunoら(2003)の報告に準じてラット胸管から採取することを試みたが非常に困難であるため、市販のヒトリンパ管内皮細胞株を代用することとした。以上の理由から実験動物をラットからマウスに変更した。Zukら(2001)の報告に従ってマウスの精巣上体上の脂肪組織から脂肪由来幹細胞の分離培養を行った。この細胞に脂肪・骨・軟骨に分化誘導をかけたところ誘導効率が悪かったため、鼠径部の皮下脂肪から脂肪由来幹細胞を培養したところ誘導効率の改善を認めた。以降、鼠径部皮下脂肪から脂肪由来幹細胞を培養することで統一した。脂肪由来幹細胞がリンパ管新生因子を放出しているかを検討するべく、脂肪由来幹細胞から抽出した馴化培地をリンパ管内皮細胞に作用させたところ、増殖アッセイ(MTT assay)にて増殖に寄与することが判明した。比較対象として3T3-L1脂肪前駆細胞を用いたが、脂肪由来幹細胞はその1.2~1.4倍の増殖を認めた。リンパ管内皮細胞増殖に脂肪由来幹細胞が放出する増殖因子が寄与していると考えられ、mRNAレベルで各種サイトカインについて脂肪由来幹細胞と3T3-L1のあいだで比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
脂肪由来幹細胞の分離培養の系を立ち上げるのに時間を必要とした。リンパ管内皮細胞の培養手技の確率に時間を要した。当初、ラット後肢リンパ浮腫モデルを過去の報告に準じて鼠径リンパ節郭清+放射線照射により作製する方針であったが、放射線照射の照射量の調整が困難であり浮腫を容易に誘導できないことが判明したため、このモデルを断念した。今後はマウスの尾リンパ浮腫モデルの採用を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪由来幹細胞がリンパ管内皮細胞の増殖に寄与することまでが判明した。引き続き、脂肪由来幹細胞がリンパ管内皮細胞の移動やリンパ管形成に寄与するか検証を行う。また脂肪由来幹細胞を内皮細胞用の培養液で培養することやVEGF-Cなどのサイトカインで刺激する、あるいはリンパ管内皮細胞との非接着供培養を行うことでのリンパ管内皮細胞への分化が起こるかどうかをin vitroで検証する。分化前後でのリンパ管内皮細胞特異的マーカー(Prox1、LYVE-1など)の発現変化を免疫組織染色やPCRで評価する。さらにマウスリンパ浮腫モデルを確立し脂肪由来幹細胞投与によるリンパ浮腫治療の効果をin vivoで検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、脂肪由来幹細胞採取とリンパ浮腫モデルのための実験動物の購入、細胞培養に必要な薬剤の購入、さらに次年度は免疫組織染色のためのリンパ管内皮特異的抗体の購入などに研究費を使用する計画である。
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