2011 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ誘発劇症型ARDS発症へのクローディン接着分子ネットワークの関与
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23659841
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川上 和義 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和男 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20192130)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ARDS / インフルエンザ / クローディン / 気管支上皮細胞 / 血管内皮細胞 / 炎症細胞 |
Research Abstract |
高病原性トリインフルエンザ(H5N1)は、劇症型ARDSによって急激な呼吸不全に陥る。その病態には肺胞腔への炎症細胞の高度な浸潤が関連する。肺の恒常性維持にはタイトジャンクション構成分子Claudinが重要な役割を担う。本研究では、劇症型ARDSモデルマウスを用いて、その発症病態へのClaudinの関与を検討した。Balb/cまたはC57BL/6マウスにインフルエンザウィルスA/H1N1(PR-8)を経鼻感染させると7日後に劇症型ARDSを発症した。Balb/cマウスを用いたモデルでは、感染肺のリアルタイムPCR解析で、Claudin 2、4の発現が亢進し、Claudin 6、9、18-1の発現が低下した。一方、C57BL/6マウスを用いたモデルでは、感染肺の免疫組織染色で、7日後の気管支上皮細胞、血管内皮細胞でClaudin 2の発現を認め、気管支上皮細胞では非感染例と比較すると低下傾向を示した。Claudin 4は気管支上皮下の基底膜、肺胞上皮細胞、血管内皮細胞に発現がみられ、非感染例と比較していずれの細胞でもClaudin 4の発現増強を認めた。また、これまでに我々が開発したLPSとNKT細胞活性化剤を用いた劇症型ARDSモデルで肺組織、気管支肺胞洗浄液(BALF)、末梢血白血球におけるClaudin 2、4、5、18-1の発現をリアルタイムPCRにて解析したところ、肺組織でClaudin 4の発現が亢進し、Claudin 5、18-1の発現が低下した。興味深いことに、BALF細胞や末梢血白血球にもClaudinの発現を認め、発現の推移が肺組織とは異なっていた。特に、末梢血白血球において、Claudin 2の発現が著明に増加し、Claudin 5、18-1の発現が有意に低下した。これらの結果から、劇症型ARDSの発症にClaudinsが深く関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザウイルス感染のみならずLPSによる劇症型ARDSモデルを用いて、当初の計画であった肺内におけるClaudinの発現・発現細胞について解析を行い、Claudin 2、4、5、18-1が病態と関連する可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果から浮かび上がったClaudin 2、4について遺伝子欠損マウスを用いることで、インフルエンザウイルスやLPSによって惹起される劇症型ARDSの発症病態におけるこれらClaudinsの関与を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の点について解析を行う。1)インフルエンザウイルスやLPSによって惹起される劇症型ARDSモデルを用い、Claudin 2、4遺伝子欠損の影響を検討する。2)Claudinsを介した気管支上皮細胞のタイトジャンクションと炎症細胞との相互作用を解析する。
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Research Products
(3 results)