2011 Fiscal Year Research-status Report
敗血症病態における遺伝子認識型受容体シグナルのノックダウン解析
Project/Area Number |
23659843
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 直之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50332466)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | TLR9 / TR3 / TRIF / NF-κB / 敗血症 / 警笛細胞 / 転写因子 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
肺,心臓,腎臓,血管系などのマウスの主要臓器細胞におけるToll-like受容体(TLR)3/7/8/9と細胞内情報伝達シグナルの発達差を解析し,さらにTLR3/7/8/9シグナルに関与する分子の遺伝子ノックダウンをマウスに施し,主要臓器の基幹細胞におけるTLR3/7/8/9シグナルの特異的作用を明らかとすることを目的とした。 遺伝子導入後にイソフルラン麻酔下で摘出した肺,心房筋,腎臓,大動脈などより抽出した蛋白にはTLR3/7/8/9 mRNAが回収できたが,盲腸結紮穿孔による敗血症過程では,これらが増加することはなかった。肺の免疫沈降法ではTLR9はadaptor protein 3やMyD88と会合することが確認され,TLR7もMyD88と会合することが確認された。一方,TLR3はTRIF(TIR domain-containing adaptor inducing IFN-β)以外にも会合する数種に蛋白があることが確認できた。 このような状況において,盲腸結紮穿孔により敗血症病態としたマウスの肺では,転写因子NF-κBの核内移行は盲腸結紮穿孔後3時間から10時間で高まった。TLR3やTLR9の肺における発現をsiRNAで抑制したマウスでは,盲腸結紮穿孔後初期の肺のNF-κB活性を抑制することができたが,後期のNF-κB活性を抑制することはできなかった。盲腸結紮穿孔後10時間ではTLR3とTLR9の肺における発現は低下しており,これらの受容体シグナルが低下している可能性が示唆された。 本研究は,感染症増悪時の多臓器不全発症の機序を解明するという学術的特色を持つ。本研究におけるTLR3/7/8/9シグナルの評価により,細菌感染症,ウイルス感染症,遺伝子治療に随伴する臓器炎症を解明できる結果が予想される。。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLRなどの受容体ノックダウンが難しいものの,研究は概ね順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,平成23年度の研究内容を補足し,より拡充したものとするとともに,免疫組織染色でTLRの臓器内局在を評価し,さらに遺伝子認識型受容体刺激による敗血症性多臓器不全が,TLR3/7/8/9受容体シグナルの遺伝子ノックダウンにより,どのように改善するかを組織化学的に評価する。(参考文献:Matsuda N,et al. Increased death receptor pathway of apoptotic signaling in septic mouse aorta: effect of systemic delivery of FADD siRNA. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2010:298;92-101. など) 平成24年度において,研究成果は国内外の主要な学会で報告する。また,これらの研究成果を平成24年度には英文原著論文として投稿し,国内外へ本研究成果を公表したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TLR3/7/8/9受容体のノックダウンに必要とするsiRNAの設計に基づいた遺伝子配列の発注や,TLR3/7/8/9受容体シグナルに関与するTRAF, TRIF,TAK-1, FADDなどのアダプター分子などのsiRNA作成のための費用,そしてそれらが遺伝子レベルでノックダウンされているかのmRNA発現解析,そして培養細胞飼育などの費用として,すべて単体が5万円を超えないレベルの消耗品として研究費を使用する。
|