2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜創傷治癒に特有なシグナル伝達の探索 -皮膚と口腔粘膜上皮の相違-
Project/Area Number |
23659857
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80242436)
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Keywords | 口腔粘膜 / 皮膚 / PI3K/Aktシグナリング / 創傷治癒モデル / 細胞運動能 |
Research Abstract |
口腔粘膜は皮膚に比べ瘢痕化が少ない創傷治癒過程を示すことから、本研究はそのメカニズムを分子生物学的に解明し、新たな創薬への突破口に結び付かせたいとすることを基本理念としており、本研究で着目したのはPI3K/Aktシグナリング経路である。このシグナル経路は、in vivoの創傷治癒モデルで活性化されているということがわかっているので、in vitroでこのシグナル経路を活性化させることによって、口腔粘膜上皮と皮膚上皮細胞で起こる反応の違いを解析した。前年度の達成度評価の“やや遅れている“を改善するため、細胞膜上のレプチンレセプターの発現をウェスタンブロットと細胞組織化学的手法による検討を行なった。その結果、レプチンレセプターの発現がほとんどなかったため、レプチンを用いることは本実験では中断することとした。その代わりに、サイトカインの一種であるヒトリコンビナントKGF(FGF-7)に変更して、実験を行なった。しかしながら、10例以上の口腔粘膜培養細胞を用いて実験を遂行したが、そのサイトカインを投与しても大きな差をインビトロの創傷治癒モデルで見出すことはできなかった。 2次元培養システムで有意差が認められなかったため、3次元培養システムであれば、相違を認めるのではないかと考え、我々が改良した3次元培養法を用い、創傷治癒過程を組織学的に確認した。しかしながら、培養方法を変更しても、組織学的、免疫組織化学的な相違を確認することができなかった これらネガティブな結果は創傷治癒あるいは角化細胞の運動能についてはPTENやmTORのシグナリング経路以外のシグナリング経路が大きく関わっていることが想像された。さらに、薬剤による薬理学的コントロールではなく、低酸素などの環境変化の方が重要なファクターである可能性が示唆された。
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