2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の浸潤におけるmicroRNAの関与とその分子機構の解明
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23659858
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
工藤 保誠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50314753)
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Keywords | microRNA / 口腔癌 / 浸潤 / 上皮間葉移行(EMT) |
Research Abstract |
昨年度までに、我々は、口腔癌細胞株とその細胞より分離した高浸潤能クローンのmiRNA発現プロファイルを網羅的に比較検討した結果、高浸潤能を有する細胞で発現低下していたmiRNAとして、miR-200 familyとmiR-203を同定した。miR-200 familyの発現低下がE-cadherinの発現低下を介して、EMTに関わることはすでに報告されているため、miR-203に着目し、浸潤やEMTへの関与について検討し、miR-203が口腔癌の浸潤に深く関わることを明らかにした。今年度は、miR-203の標的mRNAを同定するため、Ago2抗体を用いて、標的mRNAを含めたRISC複合体を免疫沈降し、その産物をマイクロアレイを用いて網羅的に解析した結果と既存のデータベースにおける標的候補mRNAを照らし合わせ、63遺伝子を標的候補mRNAとして同定した。さらに、これまでの文献から、癌の浸潤、EMT誘導などに関わる13遺伝子に着目し、miR-203の導入により発現が低下し、miR-203 inhibitorの導入により発現が増加する遺伝子を調べたところ、NUAKおよびSNAI2の2遺伝子を標的mRNAとして同定した。SNAI2は、すでにmiR-203の標的遺伝子として報告されており、E-cadherinのリプレッサーとしてよく知られている因子であるため、NUAKに着目し、口腔癌細胞株から、NUAKの3’UTR領域をクローニングし、ルシフェレース解析を行ったところ、miR-203によりルシフェレース活性が抑制されたことから、NUAKがmiR-203の新規標的遺伝子であることを明らかにした。現在、NUAKの口腔癌細胞における浸潤への関与について詳細に検討しているところである。これら結果をまとめて、論文として、投稿する予定である。
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