2011 Fiscal Year Annual Research Report
WT1ナチュラルアンチセンスRNAの発現と破骨細胞分化制御:骨破壊制御の新戦略
Project/Area Number |
23659860
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70150464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | アンチセンスRNA / Wilms'腫瘍 / マクロファージ分化 / 破骨細胞分化 / RNA in situ hybridization |
Research Abstract |
近年、制御性RNAであるナチュラル・アンチセンスRNAがヒトを含む哺乳動物でも広く発現されており、生体防御等において重要な制御的役割を演ずることが明らかにされてきた。申請者は骨吸収担当細胞である破骨細胞か癌抑制遺伝子の産物でありZincフィンガー型の転写因子であるWilms' Tumor 1 (WT1)のアンチセンスRNAを高発現していることを見出した。本研究ではWT1アンチセンスRNAの破骨細胞分化に於ける機能を解明するとともに炎症性骨破壊の場での発現を解析し、WT1アンチセンスRNAの発現を制御することにより骨破壊を抑制することを目的とする。WT1は小児腎癌Wilms'腫瘍に於ける癌抑制遺伝子の産物として発見された転写因子であるが、マクロファージの分化にも誘導的な役割を演ずることが知られている。破骨細胞はマクロファージと共通の分化単位から派生する骨吸収細胞であるが「分化振分け機構」については不明の点が多い。WT1の破骨細胞分化に於ける役割を解析する目的で骨組織に於ける遺伝子発現を特異的RNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーション法により検討したところ、新生仔ラット下顎骨に存在する成熟破骨細胞かWT1-アンチセンスRNAを高発現することを見出した。ノーザンブロット法を用いて新生仔下顎骨でWT1-アンチセンスRNAが豊富に発現されていることを確認した。前破骨細胞株RAW-D細胞を用いた破骨細胞分化系を用いてWT1蛋白質の発現を経時的に解析したところ、未分化な段階で発現されるWT1の発現が破骨細胞分化に伴って著しく抑制された。WT1-アンチセンスRNA発現ベクターをRAW-D細胞に導入するとWT1の発現がノックダウンされ、破骨細胞分化が顕著に亢進された。これらの結果よりWT1蛋白質が破骨細胞分化を抑制する機能を持つことが明らかとなり、アンチセンスRNAによるWT1の発現調節がマクロファージと破骨細胞の「分化振分け」や「破骨細胞分化状態の維持」において重要な役割を演じている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] The Transcription Factor FBI-1/OCZF/LRF Is Expressed in Osteoclasts and Regulates RANKL-Induced Osteoclast Formation In Vitro and In Vivo IF:8.4352011
Author(s)
Akiko Kukita, Toshio Kukita, Kengo Nagata, Junpei Teramachi, Yin-Ji Li, Hiroki Yoshida, Hiroshi Miyamoto, Steffen Gay, Frank Pessler,
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Journal Title
Arthritsi & Rheumatism 63(9) : 2744-2754, 2011
Volume: 63(9)
Pages: 274-2754
Peer Reviewed
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