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2011 Fiscal Year Research-status Report

口腔細菌による感染発癌におけるAIDの関与と役割

Research Project

Project/Area Number 23659861
Research InstitutionIwate Medical University

Principal Investigator

古玉 芳豊  岩手医科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70398486)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords口腔レンサ球菌 / 感染発癌 / AID / 口腔癌
Research Abstract

B細胞の遺伝子に変異を誘導する酵素AIDは通常B細胞でしか働かないといわれているが,近年,Helicobacter pylori 感染マウスの胃粘膜上皮細胞等で過剰発現していることが明らかとなり,感染発癌にAIDの異所性発現が関与していることが示唆されている.今年度,本研究においては,S. anginosusの口腔癌発症機序の解明を目的として,癌組織中のAID発現および本菌感染による上皮細胞へのAID発現誘導について検討した.その結果, 1. 口腔癌組織におけるAID遺伝子発現については,口腔癌組織からRNAを抽出し,逆転写反応, およびサイバーグリーンを用いたリアルタイムPCRを実施してAID遺伝子の発現を定量化した.正常組織にくらべ口腔癌組織ではAID遺伝子の発現が高い傾向であった.さらに,ヒト咽頭上皮細胞株(HEp-2)を用いてS. anginosus菌体,あるいは生理活性物質であるS. anginosus 菌由来抗原SAAで刺激した際の細胞内のAID遺伝子の発現量を検討した.対照に比べ菌体およびSAA刺激により,細胞内のAID遺伝子の発現が誘導された. 2. 培養細胞を用いた細胞内シグナル伝達系の解析では,マクロファージ様細胞株(RAW細胞)を用いて,S. anginosus菌体あるいはSAAで刺激した際の細胞内シグナル伝達系について検討した.NF-κBの活性化(IκBαの分解)をSDS-PAGE後にウエスタンブロッティングで解析したところ,RAW細胞では菌体およびSAA刺激でNF-κBの活性化が認められた. これらの成績から,口腔癌においてもAID遺伝子の異所性発現が亢進し,S. anginosusは口腔粘膜上皮細胞を含む,種々の細胞に対してAID遺伝子発現を誘導する可能性が示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

23年度の計画としては,口腔癌組織におけるAID遺伝子発現およびp53遺伝子変異の検出と,培養細胞を用いた細胞内シグナル伝達系の解析を遂行する予定であった. 口腔癌組織からのAIDの検出については,RNeasy kitを用いてRNAを抽出後,逆転写,リアルタイムPCRを実施しAID遺伝子の発現量を定量化することができた.さらに,来年度以降の検討課題であった,培養細胞におけるS. anginosus菌体および菌由来抗原(SAA)によるAID遺伝子の発現についても検討した.癌組織あるいはS. anginosus菌体刺激により,AID遺伝子の発現量の増加,亢進が認められた.一方,p53遺伝子変異の検出は組織標本の例数が少なかったことから,来年度の検討課題とした. 培養細胞を用いた細胞内シグナル伝達系の解析では,マウスマクロファージ様細胞株(RAW細胞)およびヒト咽頭上皮細胞株(HEp-2)を用いて,S. anginosus菌体あるいはSAAで刺激した際の細胞内シグナル伝達系について,NF-κBの活性化をSDS-PAGE後にECLウエスタンブロッティングで解析する系を確立した. RAW細胞において菌体あるいはSAAで刺激した細胞内シグナル伝達系の活性化が認められた. 従って,現在までの到達度としては,ほぼ当初の計画通りに進んでおり,おおむね順調に進展しているといえる.

Strategy for Future Research Activity

これまでのところ,おおむね順調に進展しているので,本研究課題の今後の推進方策として,24年度は,当初の実験計画通り,S. anginosus菌由来抗原であるSAA遺伝子のクローニングに向けた解析を中心に実験を遂行する.すなわち,SAAのアミノ酸配列を2次元電気泳動後,アミノ酸シークエンサー解析により決定し,そのデータに基づいて部分的DNA配列明らかにする.次にそのDNA配列からHRP標識プローブを作製する.S. anginosus ゲノムDNAを制限酵素処理してアガロースゲル電気泳動し,上記プローブを用いてサザンハイブリダイゼーションを行う.DNAフラグメントを回収し,ベクターにサブクローニングする.DNAシークエンサーで配列を明らかにし,ジーンウォーキング等で全長配列を決定する.クローニングに引き続きSAA遺伝子欠損株,組換えタンパク質の作製を行う. さらに,前年度からの継続課題として,癌組織からのAID遺伝子発現およびp53遺伝子変異の検出については,検体数をさらに増やし検討する.また,培養細胞に加え,初代培養口腔上皮細胞についても S. anginosus菌体および菌由来抗原(SAA)によるAID遺伝子の発現について定量PCRで,また,AIDタンパク質の発現をウエスタンブロッティングで解析する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度研究費直接経費予算額は1,575,255円である.次年度研究実施計画のうち,S. anginosus菌由来抗原であるSAAの遺伝子クローニングに向けた解析では,SAAのアミノ酸配列を2次元電気泳動後アミノ酸シークエンサーによる解析を行い,サザンハイブリダイゼーション後,ベクターにサブクローニング,DNAシークエンサーで配列を解析し,ジーンウォーキング等で全長配列を決定する.このクローニング過程およびその後の欠損株,組換えタンパク質の作製過程にキット類,酵素試薬,生化学試薬,ベクター代として600,000円,シークエンサー解析用消耗品,その他消耗品代として100,000円を使用する.さらに,癌組織および培養細胞からのAID遺伝子発現に関する解析では,酵素試薬,プライマー,リアルタイムPCR用試薬,チューブ類,培地代として700,000円を使用する.細胞内シグナル伝達やAIDタンパク質の発現解析ではウエスタンブロッティング用試薬,ゲル消耗品代として100,000円使用する.研究成果の報告のため国内旅費75,255円を使用する予定である.

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011

All Presentation (4 results) Book (1 results)

  • [Presentation] Streptococcus intermediusのフィブロネクチン結合タンパク質による上皮細胞付着機序2012

    • Author(s)
      古玉芳豊,佐々木 実,下山 佑,上戸幸美,木村重信
    • Organizer
      第85回日本細菌学会総会
    • Place of Presentation
      長崎
    • Year and Date
      3月, 2012
  • [Presentation] The pathogenic involvement of the fibronectin binding protein, Fbp62, in Streptococcus anginosus infection.2011

    • Author(s)
      Sasaki, M., Kodama, Y., Shimoyama, Y., Agato, S. and Kimura, S.
    • Organizer
      International Union of Microbiological Societies 2011 Congress
    • Place of Presentation
      Sapporo
    • Year and Date
      September, 2011
  • [Presentation] Fbp62, fibronectin binding protein of Streptococcus anginosus involves the virulence in mouse infection.2011

    • Author(s)
      Sasaki, M., Kodama, Y., Shimoyama, Y., Ishikawa, T. and Kimura, S.
    • Organizer
      10th World Congress on Inflammation 2011
    • Place of Presentation
      Paris
    • Year and Date
      June, 2011
  • [Presentation] Streptococcus anginosusのフィブロネクチン結合タンパク質のマウスにおける病原性の解析2011

    • Author(s)
      佐々木 実,古玉芳豊,下山 佑,木村重信
    • Organizer
      第53回歯科基礎医学会学術大会
    • Place of Presentation
      岐阜
    • Year and Date
      10月, 2011
  • [Book] Interface Oral Health Science 20112012

    • Author(s)
      Sasaki, M., Kodama, Y., Shimoyama, Y., Ishikawa, T. and Kimura, S.
    • Total Pages
      in press
    • Publisher
      Springer

URL: 

Published: 2013-07-10  

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