2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659861
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古玉 芳豊 岩手医科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70398486)
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Keywords | 口腔細菌 / 感染発癌 / 炎症 / AID |
Research Abstract |
本年度は,S. anginosusの口腔癌発症機序の解明を目的として,引き続き癌組織への本菌の感染とAID発現,さらに株化上皮細胞へのS. anginosus菌体および菌由来生理活性物質によるAID発現誘導,また細胞活性化とそれに関わる細胞内シグナル伝達系について詳細に検討した.その結果, 摘出癌組織の例数を増やし解析したところ,前年までは有意性が認められなかったS. anginosusの癌組織への感染とAID発現との間に有意な相関が認められた.初代培養歯肉上皮細胞および口腔上皮株化細胞(HEp-2,DOK)へのS. anginosus菌体および生理活性物質(SAA)によるAIDタンパク質発現誘導についてウエスタンブロッティングにより検討したところ,遺伝子レベルに比べシグナルとしては弱かったが,特にDOKで発現が認められた.シグナル伝達系の解析ではS. anginosus 由来抗原により,前年ウエスタンブロッティングではシグナルとして明確には検知できなかったNF-kBの活性化は,ルシフェラーゼ発現ベクターを用いたデュアルルミノールアッセイを行うことで活性化誘導を定量的に明らかにすることができた.すなわち,S. anginosusによる上皮細胞からのAID発現誘導が細胞内シグナル伝達系のNF-kBを経由して起きている現象であることを解明できた.さらに,昨年度作製したリコンビナントSAAを用いてその生物活性について検討したところ,株化上皮細胞に対するAID発現誘導に加え,マウスマクロファージ系の細胞株あるいは腹腔滲出細胞を活性化しNOや炎症性サイトカイン産生を誘導すること,また,株化上皮細胞に対しては,IL-8,TNFα等の サイトカインmRNA発現を強力に誘導することが明らかとなった.これら多岐にわたる生物活性が局所での慢性炎症からAID発現を誘導しS. anginosusによる感染発癌の要因となることが強く示唆された.
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Research Products
(5 results)