2011 Fiscal Year Research-status Report
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23659863
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
金本 大成 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20260755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 聡 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30281645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔難培養菌 / in vivo培養 / 中空糸膜 / 培養効率 / バイオフィルム細菌 |
Research Abstract |
ヒトの口腔環境を正確に把握する目的で、通常の培養方法では取得できない口腔難培養菌を効率よく取得することを目指し、多孔性中空糸膜を応用してヒト口腔内で使用可能な口腔バイオフィルム細菌培養装置を開発した。まず、研究メンバーが被験者となって試験運用した。具体的には、被験者の口腔からデンタルフロスで採取したデンタルプラークを生理食塩水に懸濁した後、アガロースゲルと共に撹拌し、直径30~50μmのアガロース微小ゲル粒子中に1または0個の菌体を含むように調製した。この微小ゲル粒子をアルジネートゲルと共に多孔性中空糸に封入したものを培養器(中空糸膜培養器)とし、これを歯科矯正の保定床に準じた装置に組み込んだ。これを口腔内に連続3日間、可及的に長時間装着し、口腔バイオフィルム細菌を培養した(1次培養)。1次培養の後、取り出した微小ゲルを寒天平板培地にて嫌気または好気下で2次培養し、1次培養を経ずに平板培地で培養した場合と培養効率や菌種の多様性を比較した。被験者の口腔の形状によっては、装着時の不快感のため当初予定した保定床型装置での運用が難しい場合があり、対策としてマウスピース型培養装置を考案した。試験運用の結果、こちらも保定床型と同様に使用できることがわかった。今後は被験者がより負担を少なく使用可能な装置を選択する。これまでに3名のボランティア被験者において、この培養装置を運用した。この装置の使用によって、口腔バイオフィルム検体を通常の寒天平板培地で直接培養した場合に比べ、より高い効率での培養が可能になった。しかし、取得した菌株の多様性、新規性については、予想したほどではなかった。現時点では、装置の運用およびその後の2次培養時の条件にまだ検討が必要な点もある。被験者の特性の多様性と2次培養の条件を増やしながら、より効率的な培養が可能になるよう研究を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養装置の試作と試験運用が終了し、運用上の問題点が明確になった。計画していた保定床型の装置の使用が困難な場合にも、別の形状の装置で解決可能となった。既に被験者からのデータおよび菌株の取得が可能になっている。これまでに本培養システムを用いて得られた菌株の新規性は予想したよりも低かったが、1次培養後の処理や2次培養時の更なる条件検討によって改善可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は保定床型装置の使用が困難な被験者のために装置形態を追加する必要があり、その試作を行った。また、2次培養の条件が最終的に取得できる菌株の多様性を増すことがわかった。これらの状況のため、被験者数を増やさずに研究を行った。そのため、研究費使用額に若干の余剰が生じた。来年度は、被験者数を増やし、被験者の特性の多様性を増しながら、更なる2次培養の条件検討を行う。また、2次培養の前に密度勾配法などにより目的以外の菌株をスクリーニング・アウトする方法を検討する。そして、これらの方法によって、現在得られている結果よりも高い培養効率と新規性の高い菌株を獲得できる方法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画遂行のための培養装置の製作費、細菌の培養と保存、分子遺伝学的および生化学的性状検査などに用いる消耗品の購入が大部分である。これ以外の経費としては研究打合せのための国内旅費、検体提供者への謝礼、成果発表費などである。
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