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2011 Fiscal Year Research-status Report

唾液腺細胞の分化転換と再生に必要な転写因子の同定

Research Project

Project/Area Number 23659864
Research InstitutionOsaka Dental University

Principal Investigator

桧枝 洋記  大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30243132)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 阪井 丘芳  大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90379082)
美島 健二  昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
斎藤 一郎  鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords唾液腺 / 分化 / 転写因子
Research Abstract

器官再生のアプローチの1つは器官形成や細胞分化を制御している転写因子を用いて特定の細胞タイプへと分化誘導することである。申請者は,特定の細胞タイプへの分化誘導に必要な転写因子は器官形成初期で発現する転写因子と成体器官で細胞タイプ特異的に発現する転写因子との組み合わせであるという仮説を立てた。 マウス唾液腺をモデルケースとしてこの仮説を立証するために,平成23年度は,成体マウス唾液腺の主要な4種類の細胞を分離し,各細胞タイプで発現する転写因子を同定することを目的とした。当初はSox9-EGFPマウスおよび抗CD117抗体を用いて細胞を分離する予定であった。しかし,転写因子Sox9の代わりに細胞表面分子CD66aを指標に用いて唾液腺の各細胞タイプを分離できる可能性が出てきたため野生型マウスを用いて実験を進めてきた。 マイクロアレイ解析からCD66aは唾液腺上皮組織の腺房細胞の分化開始とともに発現レベルが急上昇することが明らかになり,免疫染色の結果から成体ではSox9と同様に腺房細胞と介在部導管細胞で発現することを見いだした。CD66a抗体はフローサイトメトリーに利用可能であることから,2種類の細胞表面分子CD66aとCD117を指標にすることにより,野生型の成体マウスを用いて唾液腺上皮の各細胞タイプを分離できる可能性が示唆された。 成体マウス唾液腺から純度の高い上皮細胞を調製する条件を検討した。唾液腺をコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼで処理後,遠心条件を適切に設定することなどによって間質細胞や血球細胞をほとんど含まない上皮細胞画分を得られることがわかった。現在,CD66a抗体とCD117抗体を用いたフローサイトメトリーによって上皮細胞タイプを分離するための条件を検討して,細胞の分離を進めているところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成23年度の当初の目標は唾液腺の各上皮細胞タイプを分離してそれぞれの細胞の遺伝子発現解析を行う予定であったが,現状は細胞分離のメドがついた段階であり遺伝子発現解析までには至っていない。それにはいくつかの原因がある。1つは細胞分離の指標分子を変更したことである。当初は転写因子Sox9と細胞表面分子CD117を指標にする予定であった。しかし,この方法ではSox9-EGFPトランスジェニックマウスを利用する必要があり,将来の応用を考えると野生型マウスの利用が望まれた。マイクロアレイの結果等を参考にして,Sox9の代わりとなるような細胞表面分子を探索した結果,CD66aが利用可能であることが判明したため,CD66aとCD117を指標にし,また,Sox9-EGFPトランスジェニックマウスではなく野生型マウスを用いた実験に変更した。2つめの原因はフローサイトメトリーのための唾液腺上皮細胞画分の調製方法を再検討する必要があったことである。他研究者の方法では上皮細胞画分に間質細胞や血球細胞が多く含まれていた。そのため,細胞調製方法を再検討し,上皮細胞を99%以上の収率で分画する方法を見つけた。3つ目の原因はフローサイトメーターの不具合のためしばらく装置を使用することができなかったことであるが,現在は使用できる状況にある。当初の予定よりも遅れているが,研究プランそのものは妥当であり,実行可能であることに変わりはない。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度の研究により,野生型マウスの成体唾液腺から各上皮細胞タイプを分離するための指標として2つの細胞表面分子CD66aとCD117を利用できることを明らかにし,また,成体唾液腺から純度の高い上皮細胞画分を調製するための条件を見つけた。これにより,トランスジェニックマウスを使用することなく野生型マウスを用いて唾液腺の各上皮細胞タイプを高い収率・純度で分離することが可能となる。 これらの成果をもとに平成24年度は,まず野生型マウスの成体唾液腺から,CD66a(+)/CD117(-)細胞(=腺房細胞),CD66a(+)/CD117(+)細胞(=介在部導管細胞),CD66a(-)/CD117(+)細胞(=一部の線条・排出導管細胞),CD66a(-)/CD117(-)細胞(=一部の線条・排出導管細胞)を分離する。分離した細胞をサイトスピンで回収した後,マーカー分子の発現を免疫染色で解析することにより,各細胞タイプの確認・特定を行う。さらに,マイクロアレイ解析およびリアルタイムPCR解析により,分離した各細胞タイプの遺伝子発現を解析し,各細胞タイプに特異的な遺伝子とくに転写因子を同定する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

成体マウス唾液腺からの上皮細胞分離を行うために,実験用マウス,抗体,フローサイトメトリー用試薬等の消耗品を購入する。マイクロアレイ解析およびリアルタイムPCRを行うために必要な試薬等を購入し,また,解析を外部業者に依頼する。歯科基礎医学会(福島),国際幹細胞学会(横浜)およびGordon Research Conference on Salivary Glands and Exocrine Secretion(アメリカ、テキサス)にて研究発表するための旅費・参加費を支出する。3人の研究分担者(阪井丘芳,美島健二,斎藤一郎)に分担金を分配する。未使用額が生じた主な理由は,平成23年度に予定したフローサイトメトリー解析等が研究の遅れによりできなかったためである。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] マウス顎下腺上皮形成過程における転写調節因子群2011

    • Author(s)
      桧枝洋記
    • Organizer
      歯科基礎医学
    • Place of Presentation
      長良川国際会議場
    • Year and Date
      2011年10月1日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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