2011 Fiscal Year Research-status Report
自然睡眠時リズム性咀嚼筋活動の運動指令発生部位の同定
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23659869
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50367520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 睡眠時プラキシズム / リズム性咀嚼筋活動 / 睡眠 / 運動 / リズム発生機構 |
Research Abstract |
睡眠時ブラキシズムは、ノンレム睡眠中に歯ぎしりをともなう多数のリズム性咀嚼筋活動が頻繁に発生する睡眠関連運動異常症で、一般成人の約10%で発生する。しかし、睡眠中にリズム性咀嚼筋活動を生じさせる中枢機構は未解明である。H23年度は、まず麻酔下の動物で、中脳や大脳皮質に連続電気刺激をあたえる急性実験を行い、慢性実験動物において電気刺激する脳部位と刺激条件の検討を行った。麻酔下では、中脳では網様体などへ電気刺激を与えて、リズム性咀嚼筋活動を誘発できる部位を認めたが確実性に乏しかった。その一方、大脳皮質咀嚼野から下行する経路(錐体路)への電気刺激が安定的にリズム性咀嚼筋活動を発生させることができた。そこで、錐体路を睡眠中に電気刺激し、リズム性咀嚼筋活動を生じさせることが可能かどうか検証した。脳波、眼電図、筋電図、心電図を装着した慢性実験動物を作成し、刺激電極を中脳の錐体路に留置し、自由行動下で刺激効果を調べた。その結果、ノンレム睡眠中に連続電気刺激を与えることによって、リズム性咀嚼筋活動を誘発することができた。また、異なる強度の刺激に対するリズム性咀嚼筋活動の誘発率を算出し、これを安静覚醒とノンレム睡眠とで比較した。安静覚醒・ノンレム睡眠ともに、刺激強度を上昇させると、リズム性咀嚼筋活動の誘発率は増加した。しかし、いずれの刺激強度においても、安静覚醒に比べてノンレム睡眠中の誘発率は有意に低かった。以上の結果から、ノンレム睡眠において、咀嚼筋のリズム性活動発生に関与する神経細胞群の活動性は低下しているものの、これら神経細胞群に一定の興奮性入力が加わるとリズム性活動を生じさせうる状態であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は、麻酔下および自由行動下の実験動物において睡眠中の動物へ脳内電気刺激部位の決定と刺激条件の検討し、さらに自然睡眠中にリズム性咀嚼筋活動を誘発できるかどうかを検討することが目的であった。研究実績の概要に記したように、錐体路に与えた連続電気刺激によって、睡眠中にリズム性咀嚼筋活動が誘発でき、さらに刺激強度との関係も明らかとなったため、当初の目的をほぼ達成したものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、錐体路への電気刺激の例数を増やしてH23年度と同様の解析を行うほか、他の部位への刺激効果も調べる。さらに、連続電気刺激の刺激条件を、強度は同じで異なる頻度に変えてその刺激効果を検討する。また、ノンレム睡眠中にリズム性咀嚼筋活動を誘発しやすい生理的条件があるか否かを脳波や心拍数の定量評価を定量評価して検討するほか、連続電気刺激を与えてからリズム性咀嚼筋活動の発現までの潜時を解析しリズム発生機構で刺激効果の荷重の程度を異なる覚醒レベルで比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外科手術を行って慢性実験動物を作成するので、動物の手術・術前後管理に必要な手術関連消耗品、自作電極を作成するために電極材料・電線を購入する。また、生体電気信号や画像データ記録のためデジタル記憶媒体、組織実験のための薬品・実験器具、そして実験動物の購入に関わる経費に使用するほか、研究代表者または研究協力者が研究成果を学会にて報告する経費、英語論文作成時の外国語論文校閲費、国際学術雑誌での発表の経費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)