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2011 Fiscal Year Research-status Report

異常ハンチンチン発現による口腔癌放射線増感法の開発

Research Project

Project/Area Number 23659876
Research InstitutionTokyo Medical and Dental University

Principal Investigator

三浦 雅彦  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10272600)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords実験腫瘍学 / 放射線増感
Research Abstract

本研究は、日本人には比較的まれな常染色体優勢遺伝病である神経症状を殊勝上とするハンチントン病の病態を、口腔癌細胞に再現し、放射線による癌細胞の細胞死誘導効率を高めることができるのではないかという仮説を検証するものである。具体的には、異常ハンチンチン遺伝子を細胞内に過剰発現させると、放射線によるDNA二重鎖切断(DSB)修復に必要なKu70タンパクが枯渇することから、放射線によるDSB修復の抑制を介して、腫瘍細胞が放射線増感増するかどうかを検討するもので、全く異なる領域の接点をなす研究であるといえる。初年度は、ハンチントン病の原因遺伝子ハンチンチンの第1エクソンに、CAG配列を88コピー有する遺伝子(EGFP-Q88)をEGFPと融合させ、かつDox存在下で発現する細胞モデルを用いて実験を行った。対照細胞として、CAGを17コピー有する正常なタンパクと同じ状態のもの(EGFP-Q17)を発現する細胞を用いた。EGFP-Q88細胞に100 ng/ml Dox処理すると、細胞質にのみび漫性にEGFP蛍光を発する細胞と、核内、あるいは各周囲に限局的に凝集体と思われる強い蛍光を発する細胞が検出された。そこで、2 Gy照射後、種々の時間にDSBの数を反映する53BP1のフォーカス数を免疫染色にて計測すると、しだいにフォーカス数は減少していったが、EGFP-Q88 細胞の凝集体を形成した細胞において24時間後のフォーカス数が、Dox未処理細胞、Dox処理EGFP-Q17細胞より、有意に多いことがわかった。細胞質に蛍光が認められた細胞においては、実験によりばらつきが認められた。この結果は、EGFP-Q88凝集体が認められる細胞では、放射線によるDSB修復が抑制されている可能性を示唆するものであり、異常ハンチンチン発現が、放射線によって引き起こされるDSB修復を抑制する可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本学岡澤教授より供与された変異ハンチンチンエクソン1 をCMVプロモーターのもとで強制発現するプラスミドを口腔癌細胞に導入し、安定発現株を樹立することを試みたが、斬間的に発現させることはできても、安定株の樹立には至らなかった。しかしながら、既に樹立されているHeLa(Tet-on EGFP-88Q)を分与してもらうことができ、よりspecificな実験が可能となった。ハンチンチン遺伝子のの第1エクソンに、CAG配列を88コピー有する遺伝子(EGFP-Q88)をEGFPと融合させ、かつDox存在下で発現する細胞モデルを用いて実験を行った。EGFP-Q88細胞に100 ng/ml Doxで処理すると、細胞質にのみび漫性にEGFP蛍光を発する細胞と、核内、あるいは各周囲に限局的に凝集体と思われる強い蛍光を発する細胞が検出された。そこで、2 Gy照射後、種々の時間にDSBの数を反映する53BP1のフォーカス数を免疫染色にて計測すると、しだいにフォーカス数は減少していったが、EGFP-Q88 細胞の凝集体を形成した細胞において24時間後のフォーカス数が、Dox未処理細胞、Dox処理EGFP-Q17細胞より、有意に多いことがわかった。このように仮説を支持する知見が得られ、現在、再現性を確認している状況であり、おおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

当初の予想を支持する結果が得られつつあるので、Dox濃度をもう少し詳細に検討し、異常ハンチンチンの発現の状態とDSB修復との関係を、53BP1のみならず、γH2AX、リン酸化ATM等、他のDSBにフォーカスを形成する因子についても蛍光免疫染色にて検証する。さらに、それが本当に放射線感受性に反映するかを、微小核形成法によって検討する。可能であれば、ヌードマウスに腫瘍を移植してDox処理し、in vivoでの反応性についての検討も考えている。口腔癌細胞株に応用するために、EGFP-Q88を恒常的に発現させる細胞株の作製についても引続き試みる予定である。作製された細胞株を用いて、HeLa細胞と同様な検討を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

DSB修復に関与するγH2AX、NBS1、リン酸化ATM等のフォーカス消長動態を詳細に検討するため、これらに対する抗体が必要である。また、口腔癌細胞に効率よく遺伝子導入するための方法論の検討、タンパク発現解析を行うために、DNA導入試薬、Westernブロット関連試薬、実験用プラスチック器具類、ガラス器具類、培養関連製品が必要となる。成果を発表するために、国内学会参加のための旅費、また、学内設置の測定機器の施設利用料も計上する。

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Published: 2013-07-10  

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