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2011 Fiscal Year Research-status Report

アンギオテンシンIIを用いた成功率の高い意図的歯牙再植術の開発

Research Project

Project/Area Number 23659890
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

前田 英史  九州大学, 大学病院, 講師 (10284514)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 赤峰 昭文  九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00117053)
和田 尚久  九州大学, 大学病院, 講師 (60380466)
友清 淳  九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20507777)
門野内 聡  九州大学, 大学病院, 助教 (30609558)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords歯学 / 再生医学 / 細胞・組織 / 遺伝子
Research Abstract

本研究では、意図的歯牙再植の際に、生体外で歯根膜細胞をアンギオテンシンII(Ang II)またはその一部の配列を含んだペプチドを用いて賦活化することによって、歯根膜組織の治癒を促し、意図的歯牙再植術の成功率を向上させる治療法を開発することを目的とした。 まずAng IIがヒト歯根膜細胞の増殖および分化に及ぼす影響について解析を行った。Ang IIは歯根膜細胞の増殖に対しては、抑制的に働くことが示唆された。つぎにAng IIが歯根膜細胞の骨芽細胞分化ならびに線維芽細胞分化に及ぼす影響について検討した。その結果、Ang II刺激によって、骨関連タンパクである、骨シアロタンパク、オステオポンチン、ペリオスチンの発現を促進した。また線維芽細胞関連因子である、I型ならびにIII型コラーゲン、そしてalpha平滑筋アクチン、そして結合組織成長因子(CTGF)の発現を促進した。以上より、Ang IIは、歯根膜細胞の骨芽細胞分化ならびに線維芽細胞分化を促進する働きがあり、歯根膜組織の治癒に対してプラスに働く可能性があることが示唆された。 つぎに、意図的歯牙再植実験モデルラットの樹立を試みた。4週齢雄性ラットの右側上顎第1臼歯を抜歯した後、PBS中で洗浄し、さらに10分間浸漬した後に抜歯窩に戻し、施術後2週目に屠殺し、歯根膜組織の治癒経過について観察した。その結果、歯槽中隔部の骨はほとんどが吸収されたが、根周囲の骨は吸収されず、治癒が進行した部位では、歯根膜組織のほぼ完全な治癒が観察された。しかしながら、歯根の直径が小さい根は破折して根吸収が生じていた。また抜歯後20分間、PBSに浸漬した場合、治癒が進んでいなかった。以上より、体外での処理時間は10分程度とし、施術後2週間以内で、系の太い根の治癒について評価するのが良いと判断された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Ang IIが歯根膜細胞の増殖ならびに分化に及ぼす影響について、明らかにすることができた。また意図的歯牙再植実験モデルラットの樹立では、基本となる条件設定を行うことができた、と考えている。このモデルラット作製に関しては、当初は1本の抜歯に20-30分程度を要しており、その結果、歯根膜組織や歯槽骨へのダメージが大きくなっていたが、ラットの抜歯用器具の改良により、所要時間が数分に短縮できたことから、上記組織へのダメージを下げることができた。

Strategy for Future Research Activity

(1)意図的歯牙再植実験モデルの樹立の達成とAng IIによる歯根膜組織の治癒の評価を行う。方法:抜歯した歯根をAng II中またはPBS中に浸漬する。その後、抜歯窩に戻し固定後、1週、2週そして3週目に屠殺し、Ang II処理による歯根膜組織の治癒経過について、PBSを用いたvehicleコントロール群または非抜歯群と組織学的に比較検討し、Ang II処理の有効性について明らかにする。(2)AT2に特異的に結合するAng II中のアミノ酸配列の同定を行う。方法:Ang IIのアミノ酸配列に基づき、長さの異なる幾つかのペプチドを合成し、各々をbiotinにて標識する。つぎにAT2ならびにAT1に対する抗体を用いた免疫沈降法によって、AT2に結合するペプチドを絞り込む。これによって、血管拡張性に働くとされているAT2に結合するペプチドを同定する。 さらに合成ペプチドがヒト歯根膜細胞の分化および増殖に及ぼす影響について解析する。方法は、上記の段階で明らかにしたペプチドを用いてヒト歯根膜細胞ならびにヒト歯根膜幹細胞株を刺激し、細胞増殖に及ぼす影響について(1)と同様に検討する。つぎに分化に及ぼす影響を見るために、歯根膜細胞株をこのペプチドで刺激し、ALP およびTGF-beta1 の発現に加え、骨関連タンパクである、骨シアロタンパク、オステオポンチン、ペリオスチン、また線維芽細胞関連因子である、I型ならびにIII型コラーゲン、そしてaplpha平滑筋アクチン、そして結合組織成長因子(CTGF)の遺伝子発現への影響についても比較検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上記計画に沿って、物品費として、ペプチド合成、細胞培養用器具試薬、ガラス・プラスチック製品、遺伝子解析用試薬、実験動物購入費、組織解析用試薬を、加えて旅費、謝金等、そして成果発表のための費用を申請する計画である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 神経堤細胞の特徴を有した多分化能を持つ歯根膜細胞株は神経細胞の分化、遊走、生存を促進する2012

    • Author(s)
      Tomokiyo A, Maeda H, Fujii S, Monnouchi S他6名
    • Journal Title

      J Cell Physiol.

      Volume: 227 Pages: 2040-2050

    • DOI

      10.1002/jcp.22933

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 再生医療における歯根膜幹細胞株の可能性2011

    • Author(s)
      Maeda H, Fujii S, Tomokiyo A, Wada N, Akaminw A
    • Journal Title

      Oral Craniofac Tissue Eng.

      Volume: 1 Pages: 289-299

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 歯周組織再生における歯根膜幹細胞の展望2011

    • Author(s)
      Maeda H, Tomokiyo A, Fujii S, Wada N, Akamine A
    • Journal Title

      Stem Cell Res Ther

      Volume: 1 Pages: 1-3

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 歯根膜幹細胞分化における機械的刺激の有効性2011

    • Author(s)
      Maeda H, Monnouchi S, Fujii S, Tomokiyo A 他2名
    • Organizer
      第4回再生医療と幹細胞の世界会議2011(招待講演)
    • Place of Presentation
      Beijing
    • Year and Date
      Nov.11-13, 2011
  • [Book] Stem Cells.2011

    • Author(s)
      Maeda H, Wada N, Fujii S, Tomokiyo A, Akaminw A
    • Total Pages
      18
    • Publisher
      InTech

URL: 

Published: 2013-07-10  

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