2012 Fiscal Year Research-status Report
咬合に起因する微小動揺によるオッセオインテグレーション阻害メカニズムの解明
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23659893
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 元昭 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90239765)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10344524)
網塚 憲生 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30242431)
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Keywords | オッセオインテグレーション / 即時インプラント / 咬合負荷 / 免疫組織化学 / 骨関連タンパク / 骨改造 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに構築したラット抜歯即時インプラントシステムにおけるオッセオインテグレーション阻害を起こす咬合負荷開始時期について詳細な検討を行うとともに、咬合を負荷した場合としない場合について、アルカリフォスファターゼ(ALP)、酒石酸耐性フォスファターゼ(TRAP)、オステオポンチン(OP)、オステオカルシン(OC)、スクレロスチン(Scl)、ペリオスチン(Per)染色を行い、免疫組織化学的に検討を行った。 4週齢ラットの右側上顎臼歯を抜歯後インプラント(チタンスクリュー)を即時埋入し、チタンスクリュー上部に接着性レジンを築盛することにより咬合負荷を与える実験系において、5日後に咬合負荷を与えた場合はインプラントは脱落したが、7日後では、80%程度のインプラントが脱落しておらず、5~7日がラット上顎即時埋入におけるオッセオインテグレーション成立に必要な初期固定期間であることが示唆された。 咬合負荷を与えた場合と与えない場合の免疫染色においてTRAPとALPは、インプラントと骨組織の境界においては発現しておらず、咬合負荷による差も認められなかった。Sclは、インプラント周囲での発現が観察されたが、咬合負荷群においては負荷しない群より、発現が強く認められた。これは、埋入初期に咬合を負荷した場合は、インプラント周囲での骨改造が抑制される可能性を示唆するものである。OCおよびOPには、発現の部位には咬合負荷による差異は認められなかったが、咬合負荷を与えていない群でインプラント周囲に強く観察され、骨改造が進んでいることが示唆された。Perには、咬合負荷による差異は観察されなかった。これらのことは、インプラント周囲の抜歯後の骨改造を咬合負荷が抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本実験系のオッセオインテグレーション成立を咬合負荷が阻害する期間を明確にし、様々なタンパクの発現について分析を行い、抜歯即時インプラントの埋入直後に与える咬合の影響について面英気組織化学的に検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
咬合が負荷群と非負荷群との骨接触率と骨密度を計測し、比較検討し、埋入どれくらいの期間が最も咬合負荷を与えるのに適切かを明らかにする。また、本年度は、マイクロアレイを用いて、埋入5日後と7日後におけるインプラント周囲の遺伝子の発現を解析する予定であったが、RNA量の問題から十分な検討が行えなかった。次年度は、ラット1匹からではなく同一条件のラットを複数使用することにより、オッセオインテグレーションを阻害に関連する遺伝子について網羅的に解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、インプラント周囲の遺伝子の発現を解析する予定であったが、十分なRNA量を得ることができず、解析を行うことができず、未使用額が発生した。平成25年度においては、ラット匹数を増やすことにより解析を行う予定である。このため平成24年度未使用額は、インプラント体としてのチタンスクリューや動物の購入およびマイクロアレイ解析用の消耗品を中心に使用する予定である。平成25年度の研究費については、骨に関する定量的検索(骨接触率および骨密度)を行うための動物およびチタンスクリューの購入およびマイクロアレイ解析用の消耗品、さらに調査研究や成果発表の旅費に使用する予定である。
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