2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659894
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 誠 東北大学, 歯学研究科(研究院), 客員教授 (80091768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
坪井 明人 東北大学, 大学病院, 准教授 (00241646)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超高純度鉄 / 代替材料 / 安全性試験 / 革新技術 |
Research Abstract |
歯科治療は材料学の進歩とともに歩んでいるといっても過言ではなく、また、レアメタル使用による安定供給は困難であり、安全な材料の安定確保は喫緊の問題である。現在用いられている歯科金属は修復材料として患者のQOLを高めてきたが、金属による炎症や口腔疾患を引き起こす可能性は否定できず、より安全な代替材料が望まれている。本研究は、申請者らが独創的アイディアにより開発したin vivo安全性試験モデルを用いて、世界に類のない次世代マテリアルである「超高純度鉄」の臨床応用に向けた理論的基盤を確立することを目的としている。本年度は、炎症が生体材料において最も恐れる反応であるため、まず炎症反応について超高純度鉄の生体内での安全性試験を行った。マウス背部皮下に金属ワイヤーを埋め込み(直径0.8mm,長さ5mm)、経時的にワイヤー周囲の組織を採取した。in vivoにおける金属イオンの溶出を検討するため、プラズマ発光法による金属イオン定量解析技術(ICP-AES法)により解析した。また、経時的にワイヤーを取り出し、走査電子顕微鏡(SEM法)にて金属表面の腐食を検出した。結果、超高純度鉄は表面の腐食がほとんどなく、皮下周囲の炎症もほとんどみられなかった。このことは、超高純度鉄は安全な生体材料であることを意味し、今後の医療材料への展開につながる結果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内埋め込み実験により、超高純度鉄の炎症に対する安全性は確認できた。炎症に対する安全性が最大の懸念事項であったため、ほかの実験は達成可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo安全性試験法を用いて、超高純度鉄が炎症やアレルギーを引き起こすか、否かを検討する。さらに、口腔内環境を想定して、超高純度鉄ワイヤーをマウス背部皮下に埋め込み、その後各種菌体成分、例えば、LPS、LTA、糖タンパク、TLRリガンドをワイヤー周辺に接種し、超高純度鉄が炎症やアレルギーを引き起こすか検証する。対照として、現在用いられている歯科金属であるパラジウム(Pd)、ニッケル-クロム合金(Ni-Cr)、金銀パラジウム合金(12%Au-Pd)を用い、超高純度鉄の優位性を評価する。炎症およびアレルギーの評価は、コンフォーカルレーザー顕微鏡ならびにフローサイトメーターにて、顆粒球あるいはリンパ球の集積を蛍光抗体法により検出し、定量的、客観的評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に使用し研究成果を挙げるとともに、旅費、その他の費用を用いて、学会および専門誌にて研究の成果発表を行う。
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