2013 Fiscal Year Annual Research Report
サイバニクス的アプローチによる口腔周囲筋の機能再生
Project/Area Number |
23659898
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前川 賢治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20304313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 久雄 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80116441)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
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Keywords | 運動性咀嚼障害 / 口腔機能試験 |
Research Abstract |
脳卒中後に生じる中枢性の顔面神経麻痺等による口腔周囲筋機能の低下に対して,サイバニクス的アプローチによりそれらの筋の機能再生を実現するための基礎的検討を実施し,リハビリテーション装置の開発に繋げることを目的として研究を立案した.しかしながら,麻痺している口腔周囲筋の連鎖的な筋活動を誘発可能な電気刺激法の確立は困難であった.加えて,歯の欠損などによらずに口腔の運動機能や咀嚼制御のメカニズムに障害を受けて生じる咀嚼障害,いわゆる運動性咀嚼障害は,その原因となる原疾患に加えて,認知症などによって咀嚼運動の指示が入らないことなどの方が問題となる場合が臨床上少なくない.従って歯の欠損などによる器質性の咀嚼障害とは異なる咀嚼障害の病態には,どのような因子が関与しているのかに関して実態調査を行うこととした. まずは,運動性咀嚼障害であると診断するために有用な検査方法の確立を目指した.要介護高齢者179 名を対象として舌圧測定検査および口腔移送試験の実施の可否により,全身状態や認知症の重症度,口腔機能にどのような影響が現れるかを検討した.その結果,これらの口腔機能試験を実施できない高齢者においては,実施可能者に比較してBMIやBarthel Indexといった全身状態の低下や認知症重症度の上昇,上記の口腔機能測定項目以外の検査結果の有意な低下が認められたことから,これらの機能試験は,運動性咀嚼障害を診断するうえで妥当な検査方法である可能性が考えられた.また,現時点では臨床的直感で決定されている各個人の食形態も,これらの機能試験が実施不可能な個人においては,普通食以外への調整が必要な度合いが高まっていたという事実も,これらの検査方法の重要性を間接的に支持するものと考えられた.
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