2012 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIを用いた線維筋痛症患者における中枢神経系の疼痛過敏関与部位の検索
Project/Area Number |
23659904
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
築山 能大 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10236870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 敬 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40322747)
中村 泰彦 九州大学, 大学病院, 診療放射線技師長 (00380494)
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
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Keywords | fMRI / 線維筋痛症 / 筋筋膜痛 / 慢性疼痛 / 疼痛過敏 |
Research Abstract |
本研究は、線維筋痛症に代表される難治性慢性疼痛障害患者における中枢神経系の疼痛過敏関与部位(疼痛の下行抑制系の障害等)をfMRIを用いて視覚的にとらえ、本疾患の病態および発症メカニズム解明の突破口を開くことを目的とした。平成24年度は、健常者4名、線維筋痛症患者5名(米国リウマチ学会線維筋痛症分類基準に基づく)、重度筋筋膜痛患者6名(米国口腔顔面痛学会分類基準に基づく)を対象に顎機能障害の検査、疼痛障害の検査[咀嚼筋の疼痛(VAS)、筋圧痛スコア等]、社会心理学的因子の測定(GHQ60健康調査票、POMS短縮版)を行った後、介入条件(口腔スプリントの非装着および装着)下でfMRI検査を施行した。fMRI検査にはPhilips社製3.0-Tesla whole-body MRI scannerを用い、全脳をターゲットとした。脳機能画像解析にはSPM8(Statistical Parametric Mapping 8)を用いた。データの前処理後、統計解析を行った。咀嚼筋疼痛VAS、筋圧痛スコア、口腔関連QOL(OHIP)、GHQ60、POMS短縮版の値についてはいずれも、線維筋痛症患者群(6名)および重度筋筋膜痛患者群(7名)が健常者群(6名)よりも有意に高い値を示した。fMRIデータの解析の結果、介入前の状態では線維筋痛症患者および重症筋筋膜痛患者と健常者との間に著明な差は認められなかった。一方、口腔スプリントの装着によって、線維筋痛症患者群および重度筋筋膜痛患者群の一部において、一次体性感覚野,二次体性感覚野、帯状回,および中脳の領域で脳活動がみられた。これらの脳活動の変化には口腔スプリントの装着による感覚情報の影響も含まれるが、中脳水道周囲灰白質に代表される下行性疼痛調節系(抑制系)の活動に違いがある可能性も示唆された。
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