2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯科補綴治療介入によるインクレチンを介した糖尿病予防効果の実証
Project/Area Number |
23659906
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
細川 隆司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60211546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 哲自 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (30514989)
正木 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60397940)
近藤 祐介 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00611287)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | インクレチン / 補綴治療介入 / 糖尿病 / インスリン / 咀嚼障害 / GLP-1 / 義歯 / インプラント |
Research Abstract |
インクレチンは、食事によるブドウ糖摂取に反応して小腸から血中に分泌され、膵臓のインスリン分泌を刺激する作用があるとされており、インクレチン分泌の変化はインスリン分泌を介して食後の血糖値に影響すると考えられている。咀嚼障害によりインクレチン分泌が変化するのかは不明であるが、恐らくインクレチン分泌が低下することが考えられる。一方、補綴治療介入により、インクレチン分泌が亢進し、血糖値のコントロールが良好に保たれることも考えられる。 そこで、本研究では、実験的に咀嚼障害を与えた状態でテストミールを摂取させ、良好な咀嚼状態と比較して、食前後の血糖、血中インスリンおよびインクレチンの推移を検討することにより、補綴治療介入が血糖値のコントロールに有意な影響を与えることを実証し、さらには、インクレチンをマーカーとして補綴治療介入の評価を行うことが可能かどうか明らかにすることが本研究の目的である。咀嚼とインクレチンを介した食後血糖の基本的な関係を検討するため、咀嚼障害のない健常者に、(1)丸のみ群、(3)良好咀嚼群(30回咀嚼)に分けてテストミールを摂取させ、両群における血糖値、インスリン、インクレチンレベルの測定を行った。その結果、血糖値および血中インスリン濃度には両群間に有意差(repeated measures ANOVAによる)がなかったが、インクレチン(GLP-1)の血中濃度の経時的変化には明らかな差が認められ、とくに摂取30分後において有意に良好咀嚼群の方が高い値を示した。このことから、咀嚼の質がインクレチン分泌に影響し、インスリン分泌を介して血糖をコントロールしていることが示され、義歯装着やインプラント治療による咀嚼障害の改善により、血糖値のコントロールが改善できる可能性が示唆された。
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