2011 Fiscal Year Research-status Report
X線元素分析法と電子線トモグラフィー法を用いた骨-インプラント界面の多面的解析
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23659916
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹重 文雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 教授 (60206969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
江草 宏 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30379078)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 骨細胞 / オッセオインテグレーション |
Research Abstract |
23年度は元素分析およびトモグラフィー観察用の試料を完成させるため(1)細胞培養・試料作成、(2)集束イオンビーム加工装置(FIB)による試料加工を行い、24年度は、(3)電界放出型走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型エックス線元素分析装置(EDS検出器)による元素分析、(4)電子線トモグラフィーによる微細構造解析という観察および手法の考察・評価を行う期間にあてた。細胞培養に必要な培地の設定およびチタングリッドの加工においては、骨芽細胞の培養を行うチタングリッドはFIBのホルダーの規格にあうように厚さ50μm、直径3mmに加工を行う。今回は、直径3mmの純チタン製円柱から精密カッターにより切り出し、表面研磨により最終的な厚みを調整しグリッドを作製する。この段階で、表面の研磨荒さや表面処理の条件分けを考慮して培養を行った。 本手法においては、集束イオンビーム(FIB:FB2000A, HITACHI)を用いて界面露出を行った。イオンスパッタリング効率を考えた切削時間や切削量の基礎データの採取を行い。FIB装置内での効率的な加工方法を検討した。現段階での問題点として、試料表面へのGa原子の打ち込みが起こったり真空条件において、細胞の形態が維持できないためアーチファクトとなるということがあげられる。今後のサンプル作成においては、試料の乾燥方法も含めて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験期間において、骨インプラント界面に対して、エネルギー分散型エックス線元素分析法と超高圧電子線トモグラフィー法を応用する手法を確立し、界面の構成元素の解析と超細微構造の3次元構造の観察を行うことを目的としており、現在チタンプレート上で培養した骨細胞の細胞割断を集束イオンビーム加工装置にて行い界面正常の観察に成功している。 問題点としては、加工チャンバー内が高真空であるため加工時に乾燥が生じて本来の形状を保存できていない加工性が考えられる。乾燥方法に関して今後検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては作製された界面に対してEDS検出器を用いた元素分析を行う。この段階で想定される問題点として、元素分析であるため非蒸着下での観察になるためチャージアップ(帯電)が起こることが想定される。その場合、低電圧においても高分解能を保つことが出来る電界放出型のSEMの特性を利用して加速電圧を1~5kVに押さえた状態での観察で対応する予定である。なお、他の種類のサンプルにおいては良好な成果を上げている。 超高圧電子線トモグラフィーよる多方面からの解析に関しては、再構築処理に適切な傾斜角度および角度幅の決定を行う予定である。トモグラフィー撮影の傾斜角度を、-60°~+60°の領域に設定し1°毎の撮像を記録する予定である。得られた連続シリーズから再構築を行うことにより断層像を得て角度・幅の評価を行う。硬組織内のコラーゲン繊維や蛋白質のコントラストを得る必要がある。コントラストが得られにくいコラーゲン繊維の染色においては酢酸ウラニル、クエン酸鉛を用いる。両染色液は非脱灰試料においては表面からの浸透性が得られにくくなることが予測されるため、microwaveによる内部組織への浸透も検討している。得られた断層像からの3次元可視化モデルの作成再構築処理は代数的反復法のフィルター補正逆投影法のアルゴリズムにて再構築処理を行う2)。三次元断層像はトモグラフィーソフトウェアIMOD(Univ. of Colorado)3)を用いて作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
EDS検出装置を用いるため液体窒素代金やトモグラフィー撮影用の試料台などを購入する予定である。研究費としては現段階での学会発表のための参加費と渡航費も計上する予定である。研究発表(通期で国内2回、国外1回:参加者2名)とそれぞれの年度における論文投稿を行うことを予定している。研究成果を投稿するための投稿料および英文校正にそれぞれ60千円と100千円の費用を計上している。
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