2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウスピース型加振装置を用いた微小振動の付与による顎骨増強
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23659920
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00368870)
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Keywords | 歯学 / 生物・生体工学 / 再生医学 / 微小振動 / 骨リモデリング |
Research Abstract |
本研究では,人工歯根埋入が困難な低骨量患者への対策として,「高振動数かつ低振幅の微小振動をマウスピース型の加振装置によって顎骨に付与し,骨増強を図る」という手法の開発を目的として実験を行った. 前年度に引き続き,マウスピース型の加振装置によってラット切歯を加振したときの共振点の探索を行った.加振装置は電磁式振動素子,加速度センサー,共振点探査用ロードセルから構成され,その上部には歯科用印象材によってラット切歯を包み込んで型取りしたマウスピースが取り付けられている.マウスピースをラットに咬合させ,周波数を5Hzから200Hzへと掃引しながら加振した.この間,ロードセル,さらに今年度は変位計を用いた計測を行ったが,共振点を見出すには至らなかった. そこで任意に設定した加振条件によってラット顎骨を加振することとし,加振が顎骨内における物質輸送に与える影響を評価した.ラット尾静脈よりトレーサー試薬を投与し,最大加速度1Gで,周波数20Hz(変位1.27mm p-p),50Hz(0.2mm),100Hz(0.05mm)の3条件で加振した.その結果,50Hzで加振したときにトレーサー試薬がハバース管からより遠方の骨小腔にまで輸送されていた.これは骨内物質輸送の促進を意味する. また,ラット切歯を抜去して経皮的に下顎骨を加振するという動物モデルを用いて,加振後の骨形態変化をマイクロCT計測によって評価した.周波数50Hz,最大加速度0.25G(変位0.05mm p-p)および1G(0.2mm)の加振を1日1時間与え,1,3週間後の抜去腔を骨形態計測した.その結果,振動刺激が抜去腔に再生される骨梁幅を有意に増加させることが示された. 以上の研究から,高振動数かつ低振幅の微小振動をラット顎骨に与えることによって,骨内物質輸送の促進,歯牙抜去後の骨再生の促進が期待できることが明らかになった.
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