2013 Fiscal Year Annual Research Report
結晶学的アプローチによる顎骨の力学的特性評価への挑戦
Project/Area Number |
23659925
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
吉成 正雄 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10085839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453751)
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Keywords | 生体アパタイト / ヒト顎骨 / 結晶配向性 / メカニカルストレス / 咬合 / ヤング率 |
Research Abstract |
顎骨の力学的特性はインプラント治療の正否を決める重要な因子である。顎骨の力学的特性は、骨密度(BMD)のみではなく、生体アパタイト(BAp)結晶配向性に大きく依存することが報告されているが、顎骨のBAp 結晶配向性と力学的特性の具体的な関係に言及した研究は少なく、ましてやヒト顎骨を使用した研究は皆無である。そこで、ヒト下顎骨のBMD値とBAp結晶配向性の関係を調査するとともに、動物を使用した片咀嚼モデル、およびインプラント埋入モデルにおいてBAp 結晶配向性と力学的特性の関係を調査することを目的とした。これらが明らかになれば、骨生検手法による骨質診断、骨増生法のガイドライン策定へ寄与するだけでなく、メカニカルストレスのメカニズムの解明に繋がる可能性を有している。 ヒト下顎骨(有歯顎)における皮質骨および海綿骨のBMD値とBAp結晶配向性の計測により、歯槽部と下顎底部ではBMD値に差がないがBAp結晶配向性に大きな違いがあり、下顎底部では近遠心的に配向しているのに対し、歯槽部では歯の植立方向に強い配向性が認め られることが明らかとなった。加えて、顎骨のBAp結晶配向性と弾性係数などの力学的性質は相関性があることが立証された。これは、ヒト下顎骨が、咬合圧に応答する歯槽部と長管骨構造を有する下顎底部といった有歯顎に特徴的な二重構造を反映している結果と考えられ、咬合圧が顎骨の力学的特性に影響していることを示唆した。加えて、ヒト下顎骨(無歯顎)のBAp結晶性配向性を探査して結果、BAp結晶性配向性は歯を失ってからの期間によって変化することが明らかとなり、メカニカルストレスの重要性が裏付けられた。
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