2011 Fiscal Year Research-status Report
金属アレルギーの原因物質アレルゲンの回転リングディスク電極法による解明
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23659927
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
洞澤 功子 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20165567)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属アレルギー / 回転リングディスク電極 / アレルゲン / タンパク質 / 金属イオン / 対流ボルタンメトリー / ストリッピングボルタンメトリー |
Research Abstract |
金属アレルギーのアレルゲンは、金属イオンが体内に入り生体内のタンパク質と結合したものである。歯科用金属によるアレルギーは多発しているが、パッチテストにより原因金属の特定はなされているものの、生体内での原因因子となるアレルゲンの同定は未だ行われてはいない。そこで本研究は、電気化学測定法の1つである回転リングディスク電極法を用いて、金属アレルギーのアレルゲンの同定を目的とした。 現在、金属アレルギーの治療は原因金属を除去し、炎症にはステロイド剤、強い痒みには抗アレルギー剤を処方する対症療法のみである。しかし本研究によってアレルゲンの特定ができれば、より効果的な治療方法や治療薬の開発に繋がると考えられる。 回転リングディスク電極法は、回転によりディスクからリング方向に溶液を対流させ、リングとディスクの電位をそれぞれ独立に設定することによって、ディスク電極の生成物をリング電極で検出でき理論的扱いも簡単である。アレルゲンとなる生体内タンパク質と結合する金属イオンの組み合わせ解明に、回転リングディスク電極を応用し、その酸化還元反応から生体内の反応を解明する。 現段階では、まだ研究目的を遂行するための準備が整った状況で、顕著な結果が得られていない。しかし次年度にディスク交換型回転リングディス電極が完成し入手できれば、アレルゲンの同定に繋がるデータを得ることができるだけの準備は整って来ている。回転リングディスク電極を用いた対流ボルタンメトリーを行うための測定条件:電極の直径と長さ、リングディスク電極の補足率、電解セルと電解質溶液の容量、電極の回転速度、電解質溶液の攪拌速度、電極の電位走査範囲、走査速度、走査回数、については回転ディスク電極および既成の回転リングディス電極を用いた試験測定から決定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現段階では、まだ研究目的を遂行するための準備が整い、測定条件の決定ができた状況で、顕著な結果が得られていない。これにより、当初の計画よりも遅れている。 研究の進行が遅延している理由としては、大きく分けて二つある。その一つは、測定機器の搬入が当初の予定より3か月近く遅れてしまったことである。これはメーカーとの機器購入に関する折衝が必要以上に時間を要してしまったことと、メーカー側が在庫保持をしていなかったことによる。二つ目は、測定機器の搬入後、回転リングディスク電極装置を操作して、回転ディスク電極の自作は容易であったが、回転リングディスク電極は接点部分が特殊(メーカーの企業秘密)であり、自作は不可能であることが、判明した点である。これに関してもメーカーに装置と電極の接点の取り方を尋ねたが、教えられない、との返事を受け取るまでに時間を要した。 しかし次年度にディスク交換型回転リングディス電極が完成し入手できれば、アレルゲンの同定に繋がるデータを得る測定が直ちにできるだけの、準備は整って来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の研究遅延の最大の原因は、回転リングディスク電極の自作が不可能なことでる。それがメーカー開発によるディスク交換型回転リングディスク電極を速やかに入手できれば、研究計画の前年度遅延部分から初めて、次年度計画に至るまで研究を進展させることが、十二分に可能である。すでに回転リングディスク電極の測定条件については、検討済みであるため、ディスク部分を種々の金属と交換しながら、アレルゲンの同定に至る対流ボルタンメトリーとストリッピングボルタンメトリーを展開する予定である。 さらに対流ボルタンメトリーとストリッピングボルタンメトリーから得られたボルタモグラムを用いて、反応量のパラメーターについて詳細に解析することによって、アレルゲンとなる金属イオンの量的関係をも明らかにするところまで行いたい。その結果は、未だ明確ではない、生体に悪影響を与える溶出金属イオン量の閾値を解明することに繋がるものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費として93,998円前年度分を残した。これは、測定機器メーカーに依頼したディス交換型回転リングディスク電極(メーカー予定では2012年度6月初旬完成)の購入費の一部として、使用する予定があるためである。しかし次年度の予算も加えないと購入不可能と推測する。 次年度の研究費は、消耗品の購入と研究成果の学会発表のための出張費(2回)を予定している。消耗品としては、ディスク交換型回転リングディスク電極の購入費用と歯科用合金、ならびに電解質溶液として用いる、種々タンパク質の購入費用が、大部分を占める予定である。
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