2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒトパピローマウイルスによって誘導される新しい口腔がん発生機構
Project/Area Number |
23659929
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 明 北海道大学, 大学病院, 講師 (90271684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50301891)
北村 哲也 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00451451)
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任准教授 (40399952)
戸塚 靖則 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任教授 (00109456)
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔がん / HPV / ARE-mRNA / E6 / E7 / 核外輸送 / 安定化 |
Research Abstract |
本研究では、口腔がん細胞で起こっているARE-mRNA輸送・安定化のメカニズムを背景として、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によってがん化された口腔がん細胞でも、ARE-mRNAの核外輸送・安定化が起こっているか、またそのことが本当に発がんに関わるのか検討することを目的とする。初年度は各種口腔がん細胞を用いてc-fos、c-myc、COX-2などのARE-mRNAの核外輸送・安定化を検討し、さらにHPVのがん遺伝子E6、E7の発現によりARE-mRNAの発現に変化があるか検討した。1. ARE-mRNAの核外輸送:口腔がん細胞のHuRの局在を免疫染色やwestern法で検討し、正常細胞と比べて細胞質側にHuRが多く局在していることが明らかになった。ARE-mRNAの局在に関してもIn situ hybridization 法などを用いて検討したところ、HuR同様、口腔がん細胞ではc-fos、c-mycなどのmRNAが細胞質に多く局在していた。2. ARE-mRNAの安定化:口腔がん細胞ではARE-mRNAの蓄積や半減期の伸長などが確認され、口腔がん細胞ではARE-mRNAが安定化されていることが解明された。3. HPVのE6、E7によるARE-mRNAの核外輸送・安定化:正常細胞にHPV16型HPVのE6、E7の発現ベクターを導入し、1、2と同様の方法でARE-mRNAの輸送・安定化を検討した。その結果、c-fos mRNAに関してその発現の上昇がみられ、c-myc、COX-2 mRNAは変化がなかった。 以上の結果よりHPVのがん遺伝子が発現する細胞ではARE-mRNAが核外輸送・安定化していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した23年度の計画では、初年度は各種口腔がん細胞を用いてc-fos、c-myc、COX-2などのARE-mRNAの核外輸送・安定化を検討し、さらにHPVのがん遺伝子E6、E7の発現によりARE-mRNAの発現に変化があるか検討することであった。上述の様に、本年度の計画はほぼ遂行できたと思われる。またHPV16型HPVのE6、E7の発現実験に関してはc-fos以外のARE-mRNAの核外輸送・安定化も詳細に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上述の様にHPV16型HPVのE6、E7の発現実験に関してはc-fos以外のARE-mRNAの核外輸送・安定化も詳細に検討し、さらに例えばルシフェラーゼリポーターを用いたような別の方法でも検討する必要がある。また平成24年度は当初計画通りにHuRをノックダウンし、口腔がん細胞の性質が変化するか検討する。HuRノックダウンによりARE-mRNAの核外輸送・安定化が阻害される可能性があり、その場合口腔がんの悪性形質も減弱することが予想できる。さらに、HuRノックダウン用のアデノウイルスベクターを作成することを計画している。ノックダウン用のshRNAもしくはmiRNAをアデノウイルスに組み込んだベクターを作成し、その効果を培養細胞で確認し、さらにできればヌードマウスにHPV(+)のがん細胞を移植し腫瘍を形成し、作成したアデノウイルスを投与し、その腫瘍に対する効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は、ノックダウン用のsiRNA、shRNA、miRNAなどを多く購入する。またアデノウイルスベクターとしてStratagene社製のアデノウイルスベクターpShuttleや、Invitrogen社製のBLOCK-iT Pol II miR RNAi Expressionシステムを購入して、HuRをノックダウンできるmiRNAを発現するアデノウイルスベクターを構築する。さらにヌードマウスも購入する可能性がある。 未使用額720,270円は、平成24年3月に購入した物品費の支払いが4月以降となるために生じたものである。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] HuR keeps an angiogenic switch on by stabilizing mRNA of VEGF and COX-2 in tumor endothelium.2011
Author(s)
Kurosu T., Ohga N., Hida Y., Maishi N., Akiyama K., Kakuguchi W., Kuroshima T., Kondo M., Akino T., Totsuka Y., Shindoh M., Higashino F. and Hida K.
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Journal Title
Br. J. Cancer
Volume: 104
Pages: 819-829
DOI
Peer Reviewed
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