2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659930
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任准教授 (40399952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399919)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任助教 (40548202)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 血管新生 / 転移 / がん |
Research Abstract |
本研究はがんの血行性転移の初期過程における,がん細胞がの血管内皮への遊走, 接着し,さらには血管内皮を通り抜けて血管内に侵入するintravasationのステップにおいて腫瘍血管内皮の特異性がどのように関わっているのかを検討することが目的である.具体的には,高転移性腫瘍由来血管内皮細胞と低転移性腫瘍由来血管内皮細胞,正常血管内皮細胞を用いて腫瘍細胞に対する接着,走化性などを解析する.腫瘍血管の特異性質のうち転移を促進させる働きのある機構を明らかにして,それらを標的とし腫瘍血管を正常化することによるがん転移の制御を目指すものである.平成23年度は腫瘍血管内皮細胞が転移のステップにおいてがん細胞とどのように相互作用しているのかを明らかにした.がん細胞の内皮への走化性をボイデンチャンバー下室に高転移腫瘍由来の血管内皮ならびに低転移腫瘍由来の血管内皮細胞または正常血管内皮細胞をまき,上室のがん細胞の遊走性を解析した.高転移性の腫瘍血管内皮細胞により多くのがん細胞が遊走した.次に,腫瘍血管内皮細胞と正常血管内皮細胞をコンフルエントに培養し,そのモノレイヤーに対するがん細胞の接着性を解析した.がん細胞は高転移性の腫瘍由来血管内皮に接着した.さらに,血管内皮のmonolayerに対するがん細胞の通過性をTransendothelial migration assay により解析した.高転移性の腫瘍由来血管内皮間を最も多くのがん細胞が通過した.以上より、転移能の高い腫瘍血管内皮細胞はがんの初期ステップにおいて積極的に関わっている可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画はほぼすべて実施できた.さらに高転移性腫瘍由来の血管内皮細胞に特異的な分子を5個同定することができ,その分子の機能解析にまで研究を進めることができている.分子のノックダウンで少し予定より時間がかかったが概ね順調に研究を進めることができている.また,高転移性の血管内皮の性質に関して新たな知見を見出し,論文も発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
1)腫瘍血管内皮細胞の肺への集積と転移前ニッチ形成の評価:腫瘍血管内皮細胞ににGFPを遺伝子導入して蛍光ラベルし,マウスの尾静脈から静注する. 肺への生着と転移前ニッチの形成を, GFPを指標として蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察する.2)腫瘍細胞の転移前ニッチへの生着の検討:腫瘍血管内皮細胞にGFP, 低転移性腫瘍細胞A375にDsRED遺伝子を導入し標識する. まず, 腫瘍血管内皮細胞をマウス尾静脈から静注して肺に転移前ニッチを形成させ, 次に腫瘍細胞を尾静脈から静注する. 肺を蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察し, 腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞の共存を観察する.3)腫瘍血管内皮細胞の転移前ニッチ形成と腫瘍細胞の転移巣形成の検討:上記2.と同様に腫瘍血管内皮細胞にGFP, 腫瘍細胞にDsRED遺伝子を導入し,腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞を混合してマウス皮下に接種して腫瘍を形成させる(同所性移植). 肺転移巣におけるGFPとDsREDを蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察し,腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞の共存を観察する.4)各種血管内皮細胞による転移前ニッチ形成能の違いの検討:低転移性腫瘍細胞A375と高転移性のA375SM 移植腫瘍組織からそれぞれ樹立したA375-EC(LMTEC)とSM-EC(HMTEC), および正常皮膚由来血管内皮細胞NECを用いる. これらの血管内皮細胞にGFP遺伝子を導入して標識を行い, これら血管内皮細胞をマウス尾静脈から静注して肺に転移前ニッチを形成させ, その程度を蛍光顕微鏡および組織切片で観察し評価する. また3.同様に腫瘍細胞にもDsREDを遺伝子導入し, 標識したECと腫瘍細胞を混合してマウス皮下に接種し, 肺転移の差異を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度を繰り越した理由:初代培養の細胞を蛍光ラベルさせるためのレンチウイルスベクターの作成を予定よりも種類を増やすことにしたため,そこで時間を余計にかけたため.繰り越し金の使途:蛍光発現ベクターの作成,トランスフェクションのための試薬に用いる予定である.さらに マウスの購入や,転移に関わる分子のPCRに使用予定である.
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Tumor-derived microvesicles induce proangiogenic phenotype in endothelial cells via endocytosis2012
Author(s)
Kawamoto T., Ohga N., Akiyama K., Hirata N., Kitahara S, Maishi N., Osawa T., Yamamoto K., Kondoh M., Shindoh M., Hida Y., *Hida K
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 7
Pages: e34045
DOI
Peer Reviewed
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