2011 Fiscal Year Research-status Report
金属製生体材料からの生体・細胞内での微量溶出金属元素の分布・状態評価
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23659931
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高師 則行 北海道大学, 大学病院, 助教 (40312376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20242042)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生体材料 |
Research Abstract |
チタンの陽極酸化は表面の物理・化学的性状を改質する手法として、広く用いられており、特に初期の骨結合を促進する上で効果的であることが知られている。演者らの過去の研究において、歯科用チタンインプラント周囲組織において微量金属元素の状態・構造解析を蛍光XAFS法を用いて行い、金属チタン及び二酸化チタンが僅かに検出されること、二酸化チタンの由来として、チタンの溶出・再析出の可能性を示し、機械加工面を持つチタンインプラント表面から極微量のチタンが周囲軟組織中に溶出し、二酸化チタンとして再析出することが判明している。本年度は陽極酸化表面を持つチタンインプラントの表面性状について検討した。 実験は陽極酸化表面を持つフィクスチャー(Nobel Biocare, Groovy)と、脱落した同fixtureに付着していた骨中のチタンの状態分析をXAFS (X-ray absorption fine structure)法により行った。XAFS測定は高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設にて転換電子収量法および蛍光法により行った。 陽極酸化した表面のTi K吸収端のXANESスペクトルは転換電子収量法で測定するとアモルファスTiO2様を示し、蛍光法で測定するとアナターゼ型TiO2様を示した。転換電子収量法の測定深さは高々2~300nmであり、蛍光法のそれは数μmに及ぶことから、同表面の極表層は非晶質で内部が結晶化していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陽極酸化表面を持つチタンインプラントの表面性状について検討し、陽極酸化した表面のTi K吸収端のXANESスペクトルは転換電子収量法で測定するとアモルファスTiO2様を示し、蛍光法で測定するとアナターゼ型TiO2様を示した。転換電子収量法の測定深さは高々2~300nmであり、蛍光法のそれは数μmに及ぶことから、同表面の極表層は非晶質で内部が結晶化していることを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoでの溶出金属元素の細胞内分布測定とマイクロXAFSマッピング測定培養細胞を溶出金属元素に暴露し、細胞内での金属元素の局在をマイクロ蛍光X線マッピングを用いて測定し、特に細胞内小器官などへの蓄積や細胞毒性との関係を調査する。またマイク ロ蛍光X線分析と蛍光XAFS測定の同時測定を試み、場所による金属元素の状態差を可視化する、XAFS マッピング測定も試み、細胞内での金属元素の反応過程の解明を試みる。生体内での金属製生体材料の表面分析と溶出特性との関係の評価 各種金属製生体材料を動物に長期間埋入し、材料表面の微量の腐食生成物を蛍光XAFSや全反射XA FS法により分析し、生体内での腐食挙動を解析して、求めた溶出挙動との関係を評価する。具体的には板状金属材料を1年以上の長期、動物の皮下に埋入して表面に薄く生成した腐食生成物の状態や構造解析を行って、腐食挙動を考察する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究に於いては、金属材料の作製と動物実験関連費用、放射光実験用の試料作製などの消 耗品に大部分の予算を充てる計画である。また旅費は北海道大学から放射光施設(つくば播磨) までの旅費などに充てる計画である。平成23年度は論文投稿できなかったため、未使用額が生じたが、これは次年度に使用する予定である。
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