2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属製生体材料からの生体・細胞内での微量溶出金属元素の分布・状態評価
Project/Area Number |
23659931
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高師 則行 北海道大学, 大学病院, 助教 (40312376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20242042)
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Keywords | 溶出金属元素 |
Research Abstract |
歯科用合金は耐食性が十分に考慮された組成であるが、なお金属アレルギーなどの微量の溶出金属元素が生体に影響を及ぼす可能性が懸念されている。本研究では歯科用合金の生体内での安定性、生体適合性を評価するため、歯科用合金4種(金銀パラジウム合金、銀合金、ニッケルクロム合金、コバルトニッケル合金)を直径1mm、長さ10mmの円柱状として表面を鏡面研磨した。この試料を動物皮下に埋入し、6ヶ月埋入後にその周囲組織を摘出し、慎重に埋入金属試料を抜去した後に一部を真空乾燥し、残部を通法に従ってパラフィン薄切標本とした。 パラフィン薄切標本は放射光蛍光X線分析(SR-XRF)により、組織中に移行した合金成分の分布分析に供した。また乾燥標本を用いてXAFS(X線吸収微細構造)解析を行った。 SR-XRFで一部の合金(コバルト-クロム合金)で金属埋入部周囲にCrの局在が確認された。コバルトの検出量は微量であったが、これは試料の固定・脱水・包埋の過程で流出したものと推測された。乾燥標本を用いたXAFS測定ではCo, Crとも検出され、Coはイオン状態であり埋入金属から溶出したものと推測された。Crは酸化物(Cr2O3)として検出されたが、こちらも溶出したCrが組織中で酸化物として析出したと推測された。 以上より、一部の歯科用合金において組織内での溶出が確認され、その分布と組織中の状態がSR-XRFおよびXAFS法により分析が可能であった。
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