2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌に対する血中・唾液中microRNAによる診断,治療法の開発
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23659934
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武川 寛樹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173558)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 臨床腫瘍学 |
Research Abstract |
microRNAは標的遺伝子のmRNAの翻訳を抑制することで発生や分化の調節に関わっているとされ, その発現異常が癌の発生に関与していることが明らかにされている. microRNAの機能を標的とした治療法が現在模索されており, 過剰発現しているmicroRNAの発現を抑制したり, 不足しているmicroRNAを補ったりすることで癌治療が可能になることが期待されている. 本研究では口腔癌患者の血液中および唾液中のmicroRNAを検索し口腔癌のバイオマーカーを検出することにより, 低侵襲性検査の開発を目指した. さらにその発現量と臨床指標との関連性を検討し, 病態を評価することでmicroRNAを治療のターゲットとすることを試みた. 本年度は, 複数の口腔癌由来細胞株と正常口腔粘膜細胞からmicroRNAを含むtotalRNAを抽出し, その精度を検証した. さらに, 得られたmicroRNAのうち, matureなmicroRNAのみ逆転写し, ヒトの様々ながんにおいて発現に変動のあった84種のmicroRNAについて, その発現傾向を調べた. 細胞内のmicroRNAに加え, 細胞外に分泌されるエキソソームに封入された分泌型microRNAについては, 細胞培養液中から特異的にmicroRNAを抽出する実験系を組み立てた. 以上に加え, 口腔癌患者と健常者の唾液, 血液中の分泌型microRNAを抽出するため, サンプルを採取し精製を試みている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災により研究室の再整備からスタートすることを余儀なくされ, 当初の実施計画からは若干, 遅延している. 震災による影響として, 使用予定であった既存設備機器が故障し, 新たな機器の導入まで時間を要した. また, 停電に伴い冷凍庫が停止し, 用意していた材料が一時的に使用不可能となった. 加えて,震災よる当大学附属病院の受診控えにより, 臨床検体を収集するのに予想以上の時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
材料や試薬の再整備, 設備機器の導入は完了し, 研究室も新たに整備された. 問題点として, 臨床検体の総数が当初の予想より少ないことである. 当初の計画では, 口腔癌患者の臨床検体を用いてmicroRNAの発現状態を網羅的に明らかにする予定であったが, 現時点で臨床検体数が満たないため, 早い段階で口腔癌由来細胞株からのmicroRNAの抽出を行い, 特異的に発現変動を示すmicroRNAを同定することを計画している. 次に, 同定された口腔癌への関与が示唆される候補microRNAとその標的遺伝子について, 口腔癌細胞株を用いた機能解析を行い(24年度の研究計画の遂行), 臨床検体が確保できた段階で, 特異的発現を示すmicroRNAを同定する. 以上のように当初の研究計画に若干の修正を加え, 改善を試みる. また, 当研究グループ所属の大学院生を増員し研究推進の効率を高めた.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き, 口腔癌由来細胞株および口腔癌患者の唾液と血液中からmicroRNAを抽出・精製するため, 加えて特異的に発現変動を示すmicroRNAを同定するため専用のアプリケーションを使用する. これらは, 消耗品として研究費の大部分を占めることになる.
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