2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659947
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
浜川 裕之 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20127905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中城 公一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90314880)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔癌 / microRNA / エクソソーム |
Research Abstract |
細胞の分化や増殖に関わっていることが知られている microRNA (miRNA) は複数の標的遺伝子の発現を細胞内で制御しているが、最近 miRNA がヒト体液中に存在することが明らかとなった。この分泌型 miRNA は体液中のエクソソーム分画から検出され、細胞間のコミュニケーションツールとして機能している可能性が示唆されている。本研究では、まず口腔癌患者血清 (10 検体) と非担癌患者血清 (10 検体) より miRNA を抽出し、マイクロアレイ解析を行った。その結果、口腔癌患者に共通して存在量が増加する miRNA を 17 種類、存在量が減少あるいは検出できなくなる miRNA を 15 種類同定した。つづいて、ヒト口腔癌細胞の増殖に影響を与える miRNA を同定するために、ヒト miRNA knockdown library と overexpression library を用いて miRNA の網羅的機能解析を行った。ヒト 918 種類に対する miRNA knockdown library を用いた miRNA の網羅的機能阻害解析では、ヒト口腔扁平上皮癌細胞あるいは唾液腺癌細胞において 14 種類の癌遺伝子様の機能を有する miRNA を同定した。その中でも hsa-miR-361-3p はヒト口腔扁平上皮癌細胞の増殖を有意に促進した。次に、1,000 種類のヒト合成模倣型 miRNA library を用いた網羅的過剰発現解析では、ヒト口腔扁平上皮癌細胞あるいは唾液腺癌細胞において 17 種類の癌抑制遺伝子様 miRNA を同定した。特に、hsa-miR-1289 の過剰発現は両細胞の増殖を著明に抑制した。以上の結果より、miRNA が口腔癌の診断および治療に有用となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌患者血清で発現変動する microRNA を確認した。さらに、ヒト口腔癌細胞を用いた microRNA の網羅的機能解析を行い、口腔癌細胞の増殖に関与する microRNA を同定した。以上の結果より、本研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、口腔癌患者血清で存在量が変動し、かつヒト口腔癌細胞の増殖に影響を及ぼす microRNA に研究対象を絞り、その発現および機能解析を行う。また、正常細胞および口腔癌細胞の分泌するエクソソームについての性状および機能解析も併せて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト正常口腔粘膜上皮細胞と口腔癌細胞の培養上清を回収し、ExoQuick にてそれぞれの細胞が分泌するエクソソームを抽出する。正常細胞由来のエクソソームで口腔癌細胞を、癌細胞由来のエクソソームで正常細胞を 72 時間処理し、エクソソームのそれぞれの細胞の増殖に及ぼす影響を検討する。さらに、それぞれのエクソソーム内に含まれる miRNA をプロファイルする。つづいて、口腔癌患者および健常者特有の血清 microRNA (miRNA) と正常口腔粘膜上皮細胞および口腔癌細胞に特有の分泌型 miRNA 全ての模倣型 miRNA を合成する。これら合成 miRNA を、正常口腔粘膜上皮細胞および口腔癌細胞にリポフェクション法にてリバーストランスフェクションする。合成 miRNA 導入後 72 時間後に WST-8 にて細胞数を定量することにより、それぞれの細胞の増殖能を評価する。
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