2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌化学放射線療法の併発障害に対する骨髄由来幹細胞を用いた革新的細胞療法の確立
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23659952
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 誠悟 長崎大学, 大学病院, 講師 (80363456)
住田 吉慶 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50456654)
南里 篤太郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50529807)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 放射線 / 細胞治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔癌に対する超選択的動注化学・放射線療法(SSCR)の副作用として惹起される重度口腔乾燥と晩期顎骨壊死を対象に、骨髄由来細胞(BMDC)による細胞治療を展開することで、これらの障害の予防や組織の再生を図る治療技術を開発することにある。本研究は、SSCR後のBMDCの細胞治療について、晩期顎骨壊死にまで適用拡大する効果的な技術を開発するのと同時に、移植されたBMDCの移植部位での挙動解析を詳細に行なうことも目的としている。それにより、BMDCの移植部位で果たす役割をより正確に把握できれば、他の骨や唾液腺疾患などにおけるBMDCの細胞治療の可能性を検討できると考えられる。当該年度は、まずSSCRによる唾液腺萎縮と顎骨壊死の傷害モデルの作出から開始した。実験動物は8週齢のC3Hマウスを使用して、顎下腺から下顎骨を含む範囲にγ線の照射を行い、傷害の付与を試みた。γ線は、10-22Gyの間の線量で照射を試みたところ、15Gy以上の照射で、照射後8週において50%量の唾液分泌量の低下と唾液腺組織の萎縮を認めた。さらに、照射後13週において唾液腺組織内の腺房細胞の顕著な消失と、下顎骨内の骨髄組織の変性が組織学的に認められた。しかしながら、18Gy以上の線量において、照射後8週を経過したところで、死亡するマウスが増加したことから、現在は16Gyの線量にて、実験を行なっている。さらに、BMDC移植については、同種骨髄より単離したBMDCについて、投与方法の検討として、静脈内投与と顎下腺への直接投与について効果を比較している。その結果、顎下腺への直接投与においても、照射後8週にて唾液分泌量の増加を認め、その増加率は静脈内投与を行なった場合と大きな差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度にて、SSCRの顎骨壊死と唾液腺萎縮の併発モデルの作出が終わり、現在、細胞移植実験の評価が実験の主体となっている。来年度中には、効果的な細胞移植条件と効果発現のメカニズムについて、一定の結果を得ることができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞投与の条件として、EPCと培養MSCの各細胞群の効果発現の評価を、経静脈内投与と直接投与の投与方法の比較を併せておこなうことで、より効果的な細胞治療法の開発を行なっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用動物の購入に加えて、移植用器具や採取した障害組織の解析に関わる試薬、抗体や器具が必要である。又、次年度は口腔外科学会総会での学会発表を予定しており、そのための旅費も必要である。
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