2011 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるRANKL/Fasシグナルを介した骨・軟骨破壊機構の解明
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23659966
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 栄二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40273693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 晋吾 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (40332796)
藤原 慎視 徳島大学, 大学病院, 助教 (70403706)
日浅 雅博 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90511337)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / RANKLシグナル / 破骨細胞 / 樹状細胞 / 関節骨破壊 |
Research Abstract |
本年度はまず、RA自然発症モデルマウスであるMRL/lprマウスの破骨細胞の機能を詳細に検討するため、RANKLシグナルおよびFasシグナルを介した骨破壊機構を解明するとともに、MRL/lprマウスの骨梁構造の観察ならびに、同マウス由来破骨細胞の骨吸収能、抗原提示能、遊走能の解析を行った。また、Macrophage-colony stimulating factor(M-CSF)およびRANKLにより培養した両マウス骨髄由来破骨細胞を用いて、遺伝子発現や機能解析を行った。 μCT所見として、MRL/lprマウスの骨組織では対照マウスに比べ骨密度の低下を認め、骨粗鬆症様の所見を呈していた。培養したMRL/lprマウス由来破骨細胞数は、対照マウスと比較して著しく増加し、骨吸収能の亢進も確認された。また、破骨細胞の分化や活性化に関わる遺伝子のmRNA発現(nuclear factor of activated T cells c1、TRAP、cathepsin K、c-fos、nuclear factor-kappa B1、nuclear factor-kappa B2)は、MRL/lprマウス由来破骨細胞で、より亢進していた。 以上のことから、MRL/lprマウスでの破骨細胞の機能亢進が、骨破壊を伴うRA病態で重要な役割を果たしていること、破骨細胞におけるFasシグナルが、破骨細胞の分化、機能に制御的に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りの進捗状況であり、来年度の計画もすでに道筋をたてている。さらに、研究成果発表および論文掲載の準備を進めている段階であることから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はMRL/lprマウス由来破骨細胞のin vivo系での影響を検討するため、破骨前駆細胞を膝関節に移入し、末梢免疫細胞やRA病態への影響を解析する予定である。以上の内容の実験を遂行する上ではハード面、ソフト面ともに問題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Fas遺伝子欠損RA疾患モデルマウスとNF-κB各サブセットのノックアウトマウスとの交配によるハイブリットマウスを作成し、Fas/NF-κBを介した生体内での病態修飾の有無を検討する。顎関節の病理組織学的検索に加え、破骨細胞、樹状細胞, T 細胞の機能解析、さらにそれらのマウスの細胞性免疫、液性免疫についての詳細な機能解析を行う。 また、マウス末梢血からCD14+単球を磁気ビーズを用いて単離し、TNFーα; converting enzyme (TACE)という膜型蛋白分解酵素に着目して解析を行う。 RAを含む顎関節症患者および健常者の末梢血あるいは顎関節滑液より分離した単球、マクロファージを用い、RANKLおよびそのデコイレセプターであるOPG (osteoprotegerin) の動態を分子生物学的、免疫学的解析により詳細に検討する。さらに、RA患者の関節滑膜組織・生検材料を用い浸潤リンパ球および破骨細胞, 樹状細胞のFas, NF-κBおよびその関連分子の動態を病理組織学的手法および分子生物学的手法により解析する。また、病歴、遺伝子的背景、環境因子、治療過程など多方面からの臨床的所見を検討し、Fas, NF-κBの動態とRA発症および病態形成の因果関係をEvidence-based Medicineによって評価する。 上記の疾患モデルマウスを用いた詳細な実験から病因論に基づいた自己免疫疾患RAの顎関節骨破壊に対する破骨細胞、樹状細胞、T細胞を標的とした細胞療法の開発を検討する。 なお、昨年度研究発表を予定していた学会を一部取りやめた為、繰越金が生じたが今年度の学会参加のために使用する予定である。
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